妊娠中のコロナ合併症に米CDCが警鐘、ワクチン接種を推奨

Steve Parsons - Pool/Getty Images

米疾病対策センター(CDC)は9月29日、妊娠中、または妊娠を計画中の人に対し、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けるよう改めて勧告した。妊娠中の人と胎児に対するこのウイルスの危険性が、より高い可能性があることを示すデータが得られたためだという。

妊娠中の人の接種率を引き上げるための「緊急の対応」を推奨したCDCによると、2020年1月~2021年9月27日までに米国で新型コロナウイルスへの感染が確認された妊娠中の人は、12万5000人以上。このうち約2万2000人が入院し、161人が死亡している。

妊娠中の女性が感染し、発症した場合、集中治療室(ICU)に入ったり、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を装着したりすることが必要になる可能性は、その他の人(発症した、妊娠していない感染者)たちと比べて2倍以上となり、死亡するリスクは約70%高くなっていたという。

CDCはまた、妊娠中に感染した場合は妊娠合併症を起こす危険性、または死産や早産のリスク、新生児を集中治療室(NICU)に入れる必要が生じる可能性も高まっていたと指摘している。

米国では妊娠中の人のワクチン接種率は依然として低い水準にとどまっており、接種を完了した人の割合は31%となっている。一方、感染して入院が必要になった妊娠中の人のうち、ワクチン未接種だった人の割合は、97%にのぼっている。

また、非常にまれではあるものの、新生児が母親から感染する可能性もある。CDCによると、妊娠中に新型コロナウイルスに感染していた女性が出産した子の1~4%が、検査で陽性反応を示している。

調査結果で不安は消せない?


CDCは8月、ワクチンが妊娠中の人にリスクをもたらすことはなく、流産のリスクを高めるものでもないとして、接種を推奨する勧告を出した。男性と女性のどちらについても、「ワクチンが妊娠に悪影響を及ぼすことを示す証拠はない」との調査結果を公表している。

だが、妊娠を希望、または妊娠している人たちには依然として、ワクチンが妊娠やその可能性に及ぼす影響を懸念し、接種をためらう人が多い。妊娠を希望していることを理由に接種を拒否し、そのために仕事を辞める人たちも現れ始めている。

スポーツ専門局ESPNの記者だったアリソン・ウィリアムズや、ブロードウェイで活動する女優のローラ・オスネスが、ワクチン接種を受けないと決めたことで、仕事から離れたことを明らかにしている。

CDCは全米各地の多数の病院からデータを収集する「Surveillance for Emerging Threats to Mothers and Babies Network(母親と乳幼児に対する新たな脅威についての調査ネットワーク)」を通じて、新型コロナウイルス感染症が妊娠・出産に与える影響について継続的な調査を行っている。

この調査では、感染の時期、症状の程度、妊娠の経過、新生児の感染の有無になどについてのデータを収集している。CDCにとっては、妊娠中または妊娠を希望する人のより多くに接種を受けてもらうことが、課題のひとつとなっている。

編集=木内涼子

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