日本のスタートアップの宇宙ロボットがSpaceXで宇宙へ飛び立った日

8月29日にSpaceXのロケットが打ち上げられ、アボカドや実験用のブラインシュリンプ、アイスクリームをはじめとした様々なものがISSに届けられました。実はその積み荷の中には、日本のスタートアップGITAIが開発した宇宙用ロボットアームS1も含まれていたのです。

ISSでは、宇宙用ロボットアームS1に基本的な船内外作業を遂行させる技術実証実験を実施し、微小重力空間での機敏性や汎用性について実証する予定です。将来的には、宇宙飛行士が普段行っている日常的な作業や、さらには船外の修理などの危険を伴う作業も代わりに行うことが可能になるでしょう。

今回の実証実験は、GITAIだけではなく日本のスタートアップ界全体にとっても非常に大きなマイルストーンです。日本のスタートアップが、日本ならではの技術力でゼロからロボットを開発し、世界中の宇宙事業で採用される技術になろうとしているのです。まさに日本の誇りです!

私たちがGITAI創業者の中ノ瀬さんに初めて会ったとき、彼はロボット開発のバックグラウンドがないにもかかわらず、GITAIロボットのプロトタイプを開発して、テレロボティクスの会社を作るのだと意気込んでいました。

渋谷の狭いオフィスで彼と面会したときのことは忘れられません。自宅のガレージで誰かが趣味で作ったようにしか見えないロボットがいくつも置いてあるのを見て、私は正直なところ、本当に実現できるのかと懸念せざるを得ませんでした。そのおもちゃのようなロボットが将来、NASAの協力のもと、宇宙に送られるロボットの原型になるとはとても想像できなかったのです。

それでも投資するべきだと、悩んでいた当時の私を説得してくれた共同創業パートナーのYoheiには感謝しなければなりません。投資して本当に良かったと思います。



その後、中ノ瀬さんは私たちがこれまで支援してきた創業者の中でも「集中力」が特に高い人物であることがわかりました。最初から一貫して、彼は企業の最優先課題への集中的な取り組みの妨げとなるようなことを一切排除してきました。Coralのイベントに招待しても、重要ではないと判断されたものは躊躇なく断られてしまっていたほどです。1つのことに集中し、なにごとに対しても論理的に考えられるスキルは本当に素晴らしいと思います。あまりにもすごいので、Coralチームの間でも、「中ノ瀬さん自身が、遠い惑星の宇宙人かなにかに遠隔操作されているGITAIなんじゃないか」と冗談で言い合っていたくらいです。
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文=James Riney

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