経済・社会

2020.08.28 16:30

コロナ禍のなか、フェイスブックで医療関連デマの閲覧数が急増

Photo by Aytac Unal/Anadolu Agency/Getty Images

さまざまな社会問題についてキャンペーンを行う国際NGO、Avaazの最新調査によると、フェイスブックには医療や健康に関するデマ情報が氾濫しており、誤りや誤解を招きかねない内容を含む投稿の閲覧回数は、過去1年間で計38億回にのぼっていた。

この問題は、2020年に入り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に広まるなかでさらに悪化した。2020年4月の1か月間だけで、虚偽内容を含むコンテンツが4億6000万回閲覧されたという。

Avaazは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のさなかにあって、フェイスブックはユーザーの安全を保ち、正確な情報を伝える努力を怠っていると批判。さらに、反ワクチンのコミュニティや陰謀論、実際には効果がない「治療法」が、フェイスブックのプラットフォーム上で勢力を増していると指摘した。これに対してフェイスブックは、この報告書の内容は、「当社がこれまでに行ってきた取り組みを反映していない」と反論した。

今回Avaazが調査した世界的なデマ情報のネットワークの中核には、医療や健康に関する虚偽あるいは誤解を招く記事を拡散していることで知られる82のウェブサイトが存在する。これらのウェブサイトの情報は、FacebookページやFacebookグループ、各ユーザーのプロフィルを通じて、さらに影響を及ぼす範囲を広げている。

今回の調査はサンプル数が限られているため、デマ情報問題の全容が反映されているとは言えず、報告書の数字は実態と比べて控えめな推測である可能性が高いと、Avaazの報告書は注釈している。それでも今回の調査では、問題の深刻さを浮き彫りにする事実が示されている。医療・健康関連のデマ情報を拡散している上位10位のウェブサイトのコンテンツと、主要な保健機関トップ10のウェブサイトにおける同様のテーマに関するコンテンツを比較すると、過去1年間の閲覧件数では、デマ情報のほうが公式情報を4倍近く上回っていることが判明したのだ。

以下の表は、新型コロナウイルスのパンデミックが進行するなかで、保健機関の公式情報よりもデマ情報が頻繁に閲覧される傾向がいっそう高まる様子を示したものだ。例えば2020年3月の時点では、上位10位のデマ情報サイトのコンテンツ閲覧回数は1億2400万回に達する一方で、公式な保健機関のトップ10が発信した、信頼できる情報の閲覧回数は5500万回弱にとどまっていた。さらに4月に入ると、双方の上位10位の閲覧回数は、2億9600万回対7100万回と、大差がついた。

ここで重要な点として指摘しておきたいのは、後者の公式機関には、世界保健機関(WHO)、欧州疾病予防管理センター(ECDC)に加え、英国、米国、フランス、イタリア、ドイツの主要な保健機関が含まれていることだ。

保健機関の公式サイトと、フェイスブック上のデマ情報サイトに掲載された健康・医療関連コンテンツの閲覧回数比較(2020年3月と4月、推定値)


2020年3月 保健機関の公式サイト:約5500万回/デマ情報サイト:約1億2400万回
2020年4月 保健機関の公式サイト:約7100万回/デマ情報サイト:約2億9600万回

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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