ライフスタイル

2020.08.16 17:00

料理初心者は「肉じゃが」ではなく「丸暗記」から始めよ。その理由とは?

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また、自分で料理をし、スキルアップしていくことは、精神面での成長にも通じるようだ。

ラグビー強豪校の一つ、東海大学付属大阪仰星高等学校では、コロナの影響で学校自体が休校になり、部活動も休止になった。そこで、監督の湯浅大智さんは、自宅トレーニングメニューのひとつとして「料理」を部員たちに提案した。「鶏肉」あるいは「春」などと毎回テーマを決め、メニュー、使った食材、工夫した点、家族の反応、次回に向けての改善点をシートに書いて提出してもらう。

このトレーニングによって、部員の高校生たちは、日頃の食事を支えてくれる家族への感謝の気持ち、そして何事も「基本」が大切であることをあらためて深く理解できるようになったという。

「手間ひまをかけて、下ごしらえをしっかりしたものは、それだけおいしいものに仕上がります。これはラグビーでいうと、日々の基本的な練習を一生懸命積み重ねることが、試合で成果としてしっかり出るということとつながるんです。食材の下処理など、ちょっと面倒なことを丁寧にやった結果、おいしい料理ができたという実体験を通して、日々のトレーニングも真剣に取り組むことが大切なのだと腹落ちしてくれたように感じています」(湯浅監督)

中でも私が印象的だったのは、豆腐をテーマにした際、麻婆豆腐を市販のソースを使わずにつくった生徒さんの話だ。最初は自分が食べたいものだけを考えていたけれど、家族の健康を考える思いやりが芽生え、ソースを手づくりしたのだという。

いつもは市販のソースを買っていたが、自作してみると、その味は案外シンプルな調味料と薬味の組み合わせでできていることがわかってくる。しかも市販のものより美味しい。先のドレッシングや和食の味付けしかり、グラタンやシチューだって、クリームソースの缶詰や市販のルーがなくても、牛乳とバターと小麦粉があればフライパンひとつですごく簡単につくれる。
仰星高校の生徒さんのように、市販のソースから手作りソースへと、少しずつ目標をステップアップしながら成功体験を積み上げていけば、料理に対して「自分にもできる」という自己効力感が高まっていくだろう。

料理がさっぱりできなかった私がどうやって今の私になったか。栗原さんのようなカリスマには到底及ばないけれど、せめて私を「踏み台」にしてもらえたらと思い、このたび簡単に丸暗記できるコツをつめこんだ初のレシピ本を上梓した。この本をとっかかりに、「守」の次のステージへ、料理を自分好みにアレンジする「破」、さらにクリエイティブに、楽しく可能性を広げていく「離」へと向かっていってほしい。
 
そして聞かせてください。あなたは料理が好きですか? どんな料理が得意ですか?

連載:それ、「食」で解決できます!
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文:小竹貴子 構成:加藤紀子

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