マネー

2015.04.23

米NBAに吹き荒れた「バルマー・バブル」の終焉

flickr / Wikimedia



マイクロソフトのスティーブ・バルマー前CEOが1年前、NBAのロサンゼルス・クリッパーズを、史上最高額の20億ドル(約2兆4,000億円)で買収して以来、プロスポーツチームの資産価値の向上に期待が高まっていた。だがそれは、もはや見込み違いに終わったようだ。

ロシアの億万長者ミハイル・プロホロフに聞くといい。彼はブルックリン・ネッツとバークレー・センターを30億ドルで売却しようとしているが、いまのところ手応えはない。棚上げ状態になっているアトランタ・ホークスの売却話では、ブルース・リーベンソンは、少なくとも10億ドルは手に入れると見られていたが、最も高い値付けは8億ドルだった。

「バルマー・バブル」は、スポーツ界全体で弾けてしまったようだ。シカゴ・カブスの株の一部の所有権に示された評価額は、過去最高の18億ドルだった。しかし、それは売上高の6倍程度のもので、バルマーが払った倍率の半分にも及ばなかった。

シルビオ・ベルルスコーニは、経営が苦しいイタリアのサッカーチームACミランを10億ドルで売却するという幻想を抱いているが、叶わぬ夢に終わりそうだ。

しかし、誤解しないでほしい。プロスポーツチームの資産価値はこれまで3~4倍程度の見積もりだったのが、4~6倍あたりまで高騰している。放送権料や不動産価格の上昇などによる、収益構造の改善は全てのプロスポーツビジネスに恩恵をもたらした。

しかし、「バルマー・バブル」ほどの好況は、もはや過去のものである。

文=マイク・オザニアン(Forbes)/ 編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事