ビジネス

2020.07.30

地方スタートアップの生き残り策 コロナ禍で見出した「二刀流」の戦い方

trevary代表取締役 金城辰一郎


苦難の中生まれた新サービス「amply」


「みんなのためを意識し過ぎて作ってしまい、まだ誰にも刺さっていない」。最初に生まれてしまった課題に対しての解決策がインフルエンサーをターゲットにしたサービス展開だ。

インフルエンサーはこれまで広く浅くリーチをして、YouTube上での広告やインスタグラムのようなプラットフォームでのPR投稿を経て収益を得ていた。だが「amply」が提供するのはタレントがファンと直接繋がることができるダイレクトチャンネルだ。

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個人の価値をしっかり感じてもらい、対価となる価値をオンライン上で得る。これまでは他のプラットフォームを利用することで手数料がかさんでいたが、その負担を軽減して新たな収益化の場作りを提供する。

さらにはライブハウスなどでの演奏が難しくなったアーティスト。満員の空間でのパフォーマンスは当面実現が難しい状況のため、新たに映像の配信や動画と併用できる形を提供する。サザンオールスターズが横浜アリーナから無観客ライブ配信を行い、3600円の有料配信チケット購入者が約18万人いたというのも最近の出来事だ。

オンラインイベントを簡単に開催できる「amply」の取り組みはいずれ、リアルな体験を必要とするtrevaryのサービスにも連動してくると、金城氏はいう。

「擬似体験レベルが上がれば上がるほど、人は本物を確かめに行きたくなると思います。オフラインの価値は絶対無くならない。五感で感じるエネルギーはどんなバーチャル体験が発達しても真似できない」(金城)

あくまでも原点は忘れない。オンラインでの体験を向上させることでリアルな体験を促すきっかけとなる。そこでの擬似体験を高めることでリアルな場へ行くときにはその何倍の費用を出しても行く価値があると感じてもらうことへ繋がるのではないか。今はオンライン観光ツアーなど観光領域での利用も増えているという。

目指すのは「誰もが自分らしさを表現できる世界」


新型コロナウイルスと共に生活する日々になったからこその気づきもある。

これまでのリアルイベントはリスクが伴う興行だった。会場の収容人数も一歩間違えれば、機会損失または赤字へと繋がってしまう。開催場所に参加者は移動を余儀なくされてきた。

だが、マイナスを上回る付加価値がリアルな体験にはあった。そして再びイベントが開催される未来には一層リアルの価値が高まるはずだ。そのリアルに欠かせないのは「人」の存在。人が集い、エネルギーを生み出し、発信していくことで更なる大きなムーブメントを巻き起こす。

trevaryとamplyに共通するのは、個人発信の機会を提供するということ。金城氏はインターネットの世界に魅了され、人と人が繋がる可能性を事業へと展開してきた。「誰もが自分らしさを表現できる世界を作る」──オフライン、そしてオンラインの両輪で事業を展開することで、trevaryはwithコロナ時代をサバイブしていく。

文=新川諒 人物写真=小田駿一

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