ビジネス

2020.07.20

シンガポールから世界17拠点に拡大も、AnyMind十河宏輔が日本に戻ってきた理由

AnyMind Group 共同創業者兼CEOの十河宏輔


日本のインフルエンサーマーケティングに透明性を


もう一つ、インフルエンサーマーケティング事業では、アジアは結構進んでいるんですよね。若年層が市場を牽引しています。ベトナムやインドネシアは平均年齢が27、28歳の国なので、当然モバイルファーストです。テレビが中心の生活ではないので、SNSが盛んです。中国も同様です。

GROVE買収にあたっては国内100社以上のインフルエンサーマーケティングの会社をリスト化し、20社以上と会いました。そこで日本のインフルエンサーマーケティング業界の状況を知りました。もちろん日本でもこの分野は伸びていますが、アジアの状況とは違うと感じました。

日本だとインフルエンサーと広告主、代理店との間にいろんな会社やプレーヤーが入っています。仲介業者が複数入っているケースもあり、最終的にインフルエンサーにいくら払われているのかといった透明性が担保されにくいんですよね。

そういった中で僕らは、アジアでインフルエンサーと広告主さん、もしくは代理店さんを直接つなげる透明性の高いプラットフォームを運営しています。インフルエンサーにいくら支払われているかも全部見える化しています。日本ではまだまだです。そこにチャンスがあると考えています。僕らのプラットフォームを活用すれば、より透明性があって安全かつ簡単に、パフォーマンスも見られるデータドリブンなインフルエンサーマーケティングができます。

安全かつ透明性のあるインフルエンサーマーケティングを実現するためのプロダクトを作り提供していますので、ステマと言われるようなことが起きないよう、リアルタイムでトラッキング、モニタリングしています。インフルエンサーやクリエイターにもしっかり伝えています。

日本市場の重要性


3点目の理由としては、アジア各国の経営陣、マネジメントチームが強くなってきて、僕自身がハンズオンで各国のマネジメントをしなくてもいいタイミングになってきていると感じているためです。日本においては僕がリードしながら事業拡大をしたい。

ホールディングスのヘッドクオーターはシンガポールから始まっていますが、そのファンクションは結構分散しているんです。僕自体が今、日本にいて、リージョナルファイナンスの機能は日本主体で担っています。プロダクトマネジメントを担うチームは日本とタイの二拠点で分担しています。特に日本は今年強化していきますので、海外で活躍している日本人メンバーを呼び戻し、国内のビジネスの立ち上げを進めている状況です。

僕らの事業の中で、日本市場の重要度が非常に高まってきたのです。日本のクリエイターやコンテンツの海外展開も進めていきたい。今後さらに日本においての事業規模を拡大していきます。国内での上場も将来の選択肢として検討しています。

元々グローバルでIT事業をやりたいと思っていました。その中で東京はホットで市場的にも大きい。日本市場はまだ成熟していないからこそ伸びしろはまだまだあります。僕らのモデルで、海外展開で大成功している事例があまりないので、本当の意味でファーストバッジが取れる可能性が高いと思っています。
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文=林亜季 写真=小田駿一

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