ビジネス

2020.07.20

シンガポールから世界17拠点に拡大も、AnyMind十河宏輔が日本に戻ってきた理由

AnyMind Group 共同創業者兼CEOの十河宏輔


GROVE買収、国内でも一気に攻勢


日本市場において僕たちは後発だったのですが、これから一気に攻めていきます。昨年末に、インフルエンサーマーケティングを手がけるGROVEの過半数以上の株式を取得し、連結子会社化しました。GROVEのプラットフォームを活用し、さらに広告主を集めていきます。

またGROVEは若年層向けのユーチューバーを抱えているので、より若年層にリーチできるインフルエンサーネットワークをしっかりと築いていきます。うまくシナジーが出せると思っています。

僕のイメージでは、日本のトップクリエイターやトップインフルエンサーたちはこれから海外に進出していくと思います。やはりユーチューブ、TikTok、インスタグラムなど、プラットフォーム自体がグローバルに展開しているので、そこで活躍する個人も海外展開が容易にしやすい環境にあります。

その中で、僕らの持っているアジアのネットワークをうまく活用しながら、日本のクリエイターや日本のコンテンツを海外に持っていきたい。そこはGROVEも「ぜひ一緒にやっていきたい」と話がまとまりました。うちのプラットフォームとテクノロジー、アジア・グローバル展開に期待をしてくれています。

日本のコンテンツの海外展開に可能性


このタイミングで僕自身が日本に戻ってきた理由は3つあります。

一つ目は、僕らがアジアでビジネスをしている中で気づいたことですが、日本のコンテンツや日本のモノはすごくブランド価値が高いんです。それなのに日本のローカルコンテンツは、思った以上に海外展開をしていないんですよね。

日本のコンテンツやカルチャーはまだまだ海外でも通用します。マンガやアニメなどは海外で海賊版がよく流行っていますが、それって本当はダメなことですよね。ユーチューブで違法にアップロードされて、瞬く間に数百万回再生されているものもある。普通に海外に進出していればビジネスチャンスだったと思います。そこを仕掛ける会社やコンテンツホルダー、クリエイターはまだ少なく、ニーズが見えています。日本のコンテンツホルダーがアジアに進出する架け橋になりたいという思いで今、日本に注力しているというのが一つの理由ですね。

実際に海外在住の社員から、「ワンピース面白いです」「ナルトが好きです」と言われることも多いです。マンガだけではなく、日本のカルチャー自体に興味を持ってくれています。

日本には今、約1億3000万人という市場がありますが、向こう5年10年を鑑みたときにグローバル展開を当たり前にしていかないと、日本の経済も会社も個人も盛り上がってこない。僕らの主戦場のアジアでは人口の規模が全然違いますし、アジアに対してうまく架け橋になっていけば、日本への貢献ができるんじゃないかと思っています。ここは、やっていきたいポイントですね。

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文=林亜季 写真=小田駿一

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