経済・社会

2020.06.21 09:00

アフターコロナに求められる「ブルーエコノミー」の回復 海洋観光から養殖まで

督 あかり
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7. 海のデジタル化


ブルーエコノミーの再開を早めるもうひとつの方法は、海をより効率的・効果的に観察・理解する海洋技術を刺激する投資。例えば、漁獲増強、法令順守、希少種保護などのためのデータ収集を助ける漁業オブザーバープログラムも、新型コロナウイルスの蔓延のため停止していますが、新しいAI搭載の電子監視システムは、これらのデータパイプラインの維持に貢献できます。

他にも、新型コロナウイルスの大流行により海洋パトロールが従来のように行えなくなった地域での違法な漁業を抑制する改良型ドローンから、機械学習による衛星データ分析の強化、レストランや市場が閉鎖する中で持続可能な漁業者と地元の消費者とをつなぐアプリの活用まで、可能性は無限大です。

レーダー
先端技術は海洋監視の強化など無数のメリットをもたらす(Getty Images)

8. 危機の悪用の阻止


コロナ禍を悪用して自己の利益を進めようとする取り組みを容認してはなりません。例えば、海洋汚染の大きな原因である使い捨てプラスチックからの脱却は、これまで大きな進展がありましたが、新型コロナウイルスの蔓延を機に、利益団体はビニール袋などの製品への規制の中止や一次保留を取り付けました。

新型コロナウイルスの拡散を遅らせるために私たちが団結し取り組まなければならないことはたくさんありますが、紙や再利用可能なバッグの代わりに使い捨てビニール袋を使用することはそのうちに含まれません。同様に、海に依存する小さな島国など、大きな打撃を受けている国に外部から投資するのは良いことかもしれませんが、こうした国々の財政的に弱い立場を利用し、搾取を目的とした付帯条件を付けることは許されません。

海ゴミ
インドネシア、コモド島のビーチの様子(Getty Images)

新型コロナウイルスの蔓延は、私たちの経済と幸福が、いかに海と深く結びついているかを浮き彫りにしました。これらの行動は、コロナ禍の中での「グリーンリカバリー」の議論に、もっとブルー(海)の視点を入れていくことの必要性を示しています。今後、持続可能なブルーエコノミーの回復において、人間と海、双方の未来に恩恵がもたらされるチャンスを逃してはなりません。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>

*クレジット肩書きは以下の通り
Douglas McCauleyAssociate Professor, Department Ecology, Evolution, and Marine Biology, University of California Santa Barbara; 
Kristian TelekiDirector of the Friends of Ocean Action, World Economic Forum, and Director, Sustainable Ocean Initiative, World Resources Institute; Gloria Fluxà ThienemannVice-Chairman and Chief Sustainability Officer, Iberostar Group

文=Douglas McCauley、Kristian Teleki、Gloria Fluxà Thienemann

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