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2020.04.29 07:00

食品デリバリーのインスタカート、創業8年で初の黒字化へ

Photo by David L. Ryan/The Boston Globe via Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、数百万人の人々が外出を控えた結果、生鮮食品のデリバリーの需要は急拡大した。米国の約2万5000店舗と提携し、食料品や日用品の当日配送サービスを行っている「インスタカート(Instacart)」は、その恩恵を受けたスタートアップの1社にあげられる。

同社は3月下旬に新たに30万人を米国全土で雇用すると宣言したが、売上の急増により、創業以来初の黒字化を果たした模様だ。

ニュースサイトThe Informationによると、サンフランシスコ本拠のインスタカートの4月の収益は約1000万ドル(約11億円)の黒字となる見通しという。創業8年の同社は昨年、3億ドルの損失を計上したとされている。

記事によると、インスタカートの顧客は4月の第1週と2週に、それぞれ約7億ドルの買い物をしたという。昨年12月との比較で、売上の伸び率は約450%に達したとされる。インスタカートはThe Informationの取材にコメントを拒否した。

インスタカートはデリバリーの注文額の数%を手数料として徴収するほか、アプリ内の広告を収益源としている。

ただし、インスタカートが現状の勢いを今後もキープできるかどうかは定かではない。外出制限が緩和されるにつれ、人々は自ら外出し、買い物を行うようになるからだ。さらに、パンデミックによって多くの人々が仕事を失い、節約志向を高めていることも今後の不安材料だ。ウーバーなどの競合との戦いも、激化していく見通しだ。

それでもなお、アプリから注文した食料品が玄関まで配達される便利さは多くの顧客にとって魅力的だ。感染拡大の脅威が去り次第、多くの人々がインスタカートの利用をやめるかもしれないが、同社は膨大な顧客情報を蓄えており、それらのデータを用いて新たなマーケティングを行う可能性もある。

編集=上田裕資

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