神戸市がUber Eatsとタッグ。配達で飲食店を救う独自の支援策へ

Online food delivery 2018

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、各業界は大打撃を受けている。飲食業界も最たるもののひとつだ。当面の間休業を余儀なくされる店もあれば、テイクアウト商品の販売を開始したり、新型コロナウイルスの流行が収まった後に使える「未来の食事券」を販売するなど、各飲食店はさまざまなアイディアで危機を耐え凌ごうとしている。

そんな中、神戸市が自治体として初めてUber Eatsと協定を結び、4月13日から「Uber Eats + KOBE」という飲食店支援策を開始する。大幅な売り上げ減少をデリバリーによる売り上げで補填し、飲食店やそれ以外で職を失った就労者の雇用や収入を確保することが狙いだ。さらに外出自粛を受けて家事の負担が増え、外食の楽しみがなくなった家庭への負担を減らすこともできる。

初期手数料は無料。割引額を神戸市が負担


支援策のポイントは3つある。1つ目は神戸市内の対象飲食店はUber Eatsを導入するための初期手数料が無料となる。2つ目はオーダー金額に応じた割引を飲食店への負担なしで実施する。少しでもお得にサービスを利用したい家庭の利用を促進するためだ。5月10日まで割引額はUberが負担し、以降2か月は神戸市が負担する。3つ目はUber Eatsが行うテイクアウトサービスの利用手数料が4割減免される。Uberのテイクアウトサービスは昨年6月から開始されており、各飲食店が独自にテイクアウトサービスのPRを行うよりも、Uberのプラットフォームを使用した方がより多くの人にリーチできる。

対象飲食店は、全国展開20店舗未満の、市内の小規模飲食店を指す。なお、チェーン店でもフランチャイズで営業を行っている店舗についても対象とする。

飲食店側の負担がかなり抑えられており、この苦境の中で新たな試みを開始するのを後押しすることができるのではないだろうか。現時点ではすでに神戸市内の飲食店舗数720店のうち560店舗がUber Eatsに対応している。

サービス発表の会見で、神戸市経済観光局担当部長の古泉泰彦が「商店街などの小売が厳しい中、なんとか乗り切っていただけることを期待しています」と述べた。地域に根ざす小規模店が新たにオンライン中心のサービスを開始することは難しいのではとも感じるが、商店街店舗などでもサービスを導入する環境が整っていることを鑑みた上で実施が可能だと判断したという。Uber Eatsは、説明からサービス導入までを全てオンラインにてサポートする体制も整えている。

Uber Eatsでは感染防止を徹底するため、配達員と注文者が接触することなく商品の受け渡しが行える「置き配」のシステムや、配達員と飲食店の双方に感染を防ぐための注意喚起をアプリ内で行っている。

実施期間は7月12日までの3カ月間で、今後の状況によっては期間を延長することも考えているという。

現在進行形であるが、新型コロナウイルスの影響は私たちの想像をはるかに超えて大きなものになっていると感じる。仮に感染拡大が収束しても、自分の馴染みの飲食店が廃業に追い込まれたり、商店街の元気がなくなってしまった時のことを想像すると、寂しさを感じるだろう。少しでも市内の飲食店の希望となることを願う。

文=河村優

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