副業と転職が当たり前の時代において、企業は採用にどう向き合うべきか?

HERPの庄田一郎とYOUTRUSTの岩崎由夏


ただ、どこかでマジョリティになりキャズムを超えたら、タレント管理が当たり前になる。ひと昔前、「エージェント」という存在はまだなかったのですが、今では当たり前になっている。まだまだ時間はかかるかと思うのですが、いつか「ナーチャリング」という概念や、「候補者は潜在的なものであり最初から人間関係をつくって口説かないといけない」といった考え方が当たり前の世界になってくると、オンボーディングにかかるコストも下がるでしょう。


YOUTRUSTの岩崎由夏

例えば、heyの佐俣奈緒子さんは自分でスカウトメールを打って、ご自身で面談をされてます。リソースの6〜7割を採用業務に当てていらしたのではないでしょうか。あとは入社者のオンボーディングもフォローされていて、社内のesaによく記事を投稿しているらしいんです。そこまで工数をかけてきたからこそ醸成されたのがheyという企業としての採用ブランドであり、他社が一朝一夕にマネできるものではないんですよね。

庄田:経営者の考えも変えていかないといけないですよね。

岩崎:これまで人事は面接さえやっていれば良かったのですが、今は採用マーケティングもやるし、採用広報もやらないといけないし、人としてのお付き合いもしないといけない。どんどん人間性が求められるようになっていると思います。

庄田:日本のバックオフィスは“黒子”的なイメージがあると思うのですが、アメリカの企業のバックオフィスは全然“黒子”ではないんですよね。事務作業を処理するだけの部署ではなく、クリエイティブな思考とアクションができてこそ価値が生まれる部署として存在しているんです。

岩崎:たしかに海外のビジネス書は、グーグルの人事制度やネットフリックスの人事制度など、プロダクトづくりと同じくらい人事系テーマの書籍が多いような気がします。

目指すは「日本の最大のキャリアSNS」


庄田:ちなみにYOUTRUSTは今後、どのような戦略を描いているのですか?

岩崎:将来的には日本最大のキャリアSNSになりたいと思っています。日本は独自の働く環境/カルチャーや法令などがあるので、それらに最適化した上で旧来のゼロイチ型ではない転職や、グラデーションのある働き方をカバーし、なおかつ安心して仕事が見つかる立ち位置のサービスにしていきたいと考えています。

これまではスカウト媒体という風な訴求をしてきましたが、今後はよりSNS要素を強めていくと思います。それに伴って、タイムラインや友だちとのつながりなど、SNSにあるような機能を拡充していく予定です。
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構成=新國翔大 写真=小田駿一

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