副業と転職が当たり前の時代において、企業は採用にどう向き合うべきか?

HERPの庄田一郎とYOUTRUSTの岩崎由夏


潜在的な候補者の管理は難しい


岩崎:今回、HERPがリリースされたHERP Nurtureはすごく良いサービスだなと思いましたし、サービスの構想に深く共感しました。HERPはこれまで、社員主導型のスクラム採用を推進したい経営者や人事責任者向けの採用プラットフォームを提供していましたが、なぜこのタイミングでタレント管理プラットフォームを提供することにしたのですか?

庄田:HERP Hireを導入いただいている企業からのニーズが高かったからです。導入企業の多くは選考プロセスを管理するためにHERP Hireを使っているのですが、最近になってから少しずつ「少し話を聞いてみたい」、「今すぐ転職するつもりはないけど将来的に転職するかもしれないから話を聞きたい」というモチベーションの採用候補者が増えてきた。

企業もそうした流れはもちろん理解しているのですが、そういった潜在的な採用候補者の管理はどうあるべきなのか。実際の選考が始まっていない段階なので、採用管理システムの中に情報を入れても浮いてしまうわけです。これまでは地道な管理・運用で何とかカバーすることで成り立っていたのですが、企業側からの要望が強くなり、開発に至りました。

開発する際、HERP Hireに新規機能として追加することも検討したのですが、採用管理とタレント管理では企業に提供するべき体験が全く異なります。タレントプール内の候補者を対象としたアクションの管理はとても難しい。実際に選考を開始している候補者は2次面接、3次面接とフローが決まっているので、ある程度はオペレーションをパターン化・自動化することができますが、まだ選考を受けていない段階の候補者に対するアプローチの方法はクリエイティビティが必要になります。

例えば、ある候補者の趣味がフットサルだからその練習や試合に誘ってみるなど、候補者の趣味・嗜好まで含めてインサイトを把握していないといけないので、自動化の方法がない。企業側の使い方、活用のシーンが異なるのでサービス自体も分けることにしました。

岩崎:これは“あるあるの話”だと思うんですが、候補者はカジュアル面談のつもりで行ったのに、ガッツリ面接されることとかありますよね。多分、既存のツールでは管理が難しかったのかもしれませんが……。

庄田:カジュアル面談で候補者にお見送りメールを送った日には、もう最悪ですよ。でも、多くの企業にとって、よくあることだと思うんです。今の時代、企業よりも候補者の立場の方が強いので、採用におけるコミュニケーションの体験をどれだけよくできるかが大事になってくると思います。
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構成=新國翔大 写真=小田駿一

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