テクノロジー

2020.02.02 07:30

米貨物輸送UPS、ウェイモと組んで「自動運転配送」実現へ

ウェイモの自動運転車(Sundry Photography / Shutterstock.com)

米国の貨物運送大手UPSは、英国のスタートアップ企業から最大1万台のEV(電気自動車)ライトバンを購入するほか、自動運転企業「ウェイモ」と組んでアリゾナ州フェニックス郊外で小荷物配達の実験を開始すると発表した。

UPSが使用するEVライトバンは、ロンドンに本拠を置く「Arrival」が製造する。UPSのベンチャーキャピタル子会社「UPS Ventures」は、これを機にArrivalにマイノリティ出資をしたが、出資額は明らかになっていない。

先日は、韓国の現代自動車と起亜自動車が1億1000万ドル(約120億円)をArrivalに出資している。UPSは、EVライトバンの購入コストについて明らかにしていないが、1台当たりの価格が4万ドル程度だとすると、最大で4億ドルに達する可能性がある。

「ArrivalのEV車は配送用車両としては世界で最も先進的で、業界標準を打ち破ることになるだろう」とUPSでグローバル・フリートメンテナンス&エンジニアリング部門のプレジデントを務めるCarlton Roseは述べている。

EVライトバンはADAS(先進運転支援システム)を搭載し、航続距離は100マイル(約160キロ)となっている。

UPSに先立ち、アマゾンも米スタートアップ「Rivian」から10万台のEVライトバンを購入し、配達車両のグリーン化を図ると発表している。Rivianは、電力で駆動するピックアップトラックとSUVを今年後半に販売する予定だ。

カリフォルニアや欧州では、CO2排出量の削減を目的に厳しい排ガス規制が導入されている。これを受け、テスラやニコラ・モーター、ダイムラー、ボルボ、バスメーカーの「Proterra」など多くのメーカーがEVの商用車を開発している。

一般的に、EVはガソリン車や軽油車に比べて価格が高いが、燃料やメンテナンスにコストがかからないため、トラックやライトバンについてはEVの方が運用コストが低い。

Arrivalの「Generation 2」モデルは、SF的な外見が特徴的だ。同社によると、Generation 2の価格は従来のライトバンと同程度だが、パフォーマンスは上回るという。同社がユニークな点は、需要地の近くにマイクロ・ファクトリーを用意して車両を組み立てることだ。独自開発したサステナブル素材は軽量で耐久性があるという。

Arrivalの設立は2015年だ。創業者兼CEOのDenis Sverdlovは、GMで長年重役を務めたMike Abelsonを昨年後半にスカウトし、北米事業のCEOに就任させた。同社は、以前からUPSやDHL、ロイヤルメールと車両テストを行っているとしていた。製造拠点は英国バンベリーにあり、2021年に製造開始を予定している。

「Generation 2は、既存のEVに比べて価格、デザイン、乗車体験の全てにおいて優れている。今後は、世界中でEVの普及を加速させていきたい」とArrivalのチーフ・ストラテジー・オフィサー、Avinash Rugooburは述べた。
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編集=上田裕資

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