世界銀行も認めた最高の「Ibasho」とは何だ?

居場所ハウスの食堂


国際NGOや世界銀行が、国連防災世界会議にあわせ、この居場所ハウスに関する研究レポートを発表したところ、それを読んだ人たちが、2015年にはフィリピン、2016年にはネパールで、“Ibasho”のプロジェクトを立ち上げることに。

実は大船渡市のように、台風や地震などの災害で高齢者が町に取り残されるケースは世界の他の地域でも問題になっており、彼らは居場所ハウスを参考にしながらも、支援の受け手ではなく、地域に必要な活動を自ら企画し、実行する「当事者」として、それぞれの“Ibasho”をつくっているとのこと。

居場所ハウスは、大船渡市だけの独自の取り組みで閉じることなく、その学びが世界でも再現されているのだ。その詳細なレポートは世界銀行のウェブサイトにすべて掲載されている。

こうして、“Ibasho”のレポートを読んだ人たちが、今も世界中から居場所ハウスを見学にくる。ちなみに、レポートのタイトルは、“Elders Learning the Way to Resilience”(高齢者のレジリエンスの育て方)。レジリエンスとは、さまざまな環境・状況に対しても適応し、生きぬく力。

本当にすごいなぁと感心するのだが、居場所ハウスに集まってくる人たちは、そうやって世界中に自分たちの経験を伝える活動をしながら、そこからまだまだ自分たちの改善点を見つけたり、学ぼうとする意欲に溢れている──まさにレジリエンスそのものと感じた。

「津波のおかげで自分はここで、世界中の人たちと繋がれるような素晴らしい体験ができている」「津波があったからこそ、この場所があるんだよ」「みんなで盛り上げていかなきゃ」「働くことは苦じゃない」「生きているのが楽しい」

歳をとると、自分が何かの役に立てるという自己有用感が低くなると言われているが、こんなセリフを聞いていると、果たして本当かしらと思ってしまう。
 
誰だって平等に歳を重ねていく。あなたも私も。まだ随分先のことのように感じるかもしれないけれど、みなさんは自分の老後をどんなふうに生きていたいだろうか?

食を大事にすることは地球を健康にする

「毎日の料理を楽しみにする」。これはクックパッドのミッションである。私が、クックパッドに参加したのは2003年、当時の仲間は社長をいれてたった3人。そこから15年以上も食、そして料理というものに向き合い続ける日々を過ごしている。

広告事業部、人事総務、そして新規事業。あらゆるポジションを経験させてもらった。いまは編集部、そしてコーポレートブランディング部を所管し、料理のポテンシャルを見つけ、その価値を世の中に発信し、ミッションの共感者を増やすという役割を担っている。つまり料理と食のブランディングだ。とても難しく、だからこそ非常にやりがいのある仕事だ。

このコラムでは、私がこれまで訪ね歩いた日本だけではなく世界の“食”を通じたさまざまな取り組みを紹介しつつ、身の周りにある課題に気づいたり、自分ならどんなことができそうかなど、読者の皆さんと一緒に考えていくことができたらいいなと思っている。

【連載】それ、「食」で解決できます!

文:小竹貴子 構成:加藤紀子

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危機に備えろ。 「災害」を本気で考える

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