ビジネス

2019.11.07

北欧のイノベーションの震源地で見た、「偶然」を生む必然の仕掛け

ストックホルムのコワーキングスペース「Epicenter」。コミュニケーションの場となっている1F共有部


「成長期」の企業同士が交流することで、お互いがお互いの成長に貢献し、ストックホルムから世界を驚かせるイノベーションへと事業を育てていく──こうした哲学と仕組みが評価され、Epicenterは設立から5年弱でアムステルダム、オスロ、ニューヨーク、ヘルシンキに展開するコワーキングスペース・ブランドに成長。現在は、ベルリン、ロンドンへの進出を構想中だ。

コミュニティを築くコツは「By Asking」


共同設立者・Ola Ahlvarsson氏

最後にAhlvarsson氏にEpicenterを設立・運営するうえで大切にしていることを聞くと、こう答えてくれた。

「どのようにEpicenterをつくったかと問われれば、“By Asking(問うことによって)”と答えます。私は創立から今に至るまで “Asking”を大事にしています。『ここをより良い場にするには?』『お互いの事業をともに成功させるには?』『理想の働き方は?』など、あらゆるテーマについて人々に問いかけ、対話することが大切だと思うのです」

さまざまな立場・考えを持つ人が集まる場だからこそ、耳を傾け、お互いに問いかけ合いながら答えを築いていく。そんな姿勢から今のEpicenterが作り上げられたのだと思うし、きっとこれからも問いかけることを大切にしながら、前へ進んでいくのだろう。


本記事の執筆担当者>>山田 聰
東京大学法学部卒業後、2006年博報堂入社。制作職として多様な業種のコミュニケーション開発、クリエイティブ開発に従事した後、2011年より博報堂ブランド・イノベーションデザインの前身組織に参画。金融、菓子、電子機器、IT、教育機関、地方自治体等のブランド開発や事業開発に携わるアジア太平洋広告祭ヤングロータスグランプリ、グッドデザイン賞など受賞。共著に『ビジネス寓話50選 物語で読み解く、企業と仕事のこれから』(アスキーメディアワークス)など

連載:スウェーデンから学ぶ「共創イノベーション」の生み出し方
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文=山田 聰

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