リチャード・ブランソンの5つの冒険

Hardo Müller/ frickr



 ヴァージン・グループの創始者であるリチャード・ブランソン(64)は、これまでに幾多の事業を興してきた。鉄道、クルーズ船、航空事業などでその名をとどろかせているヴァージン社は、陸・海・空を制覇したといえるだろう。

 ブランソンの次なる挑戦は「宇宙への旅」。宇宙旅行ビジネス会社「ヴァージン・ギャラクティック」は、アブダビの投資企業“アーバー社”からの出資も受け、宇宙旅行を実現する事業に、3億9000万ドルに及ぶ資金を調達した。

「宇宙はいつも私を魅惑する」とブランソンは話す。
「子供の頃から、星を眺めることが好きだった。空の向こうに何があるのかを確かめたいと、ずっと夢見てきた」

 ヴァージン・ギャラクティック社が崖っぷちに立たされたのは2014年11月。テスト飛行が失敗し、操縦士1人が死亡した。その事故を振り返ってブランソンは言う。
「深い悲しみを、チームが一致団結して乗り越えたことを、誇りに思うよ」

 ブランソンはビジネスでも冒険旅行でも、しょっちゅう危険を冒している。1985年には、ボートでの大西洋最速横断の世界記録に挑戦したが失敗。途中で救助されるという結末に終わった。熱気球での地球一周にも3回チャレンジしたが、いずれも失敗に終わっている。

「どんな偉大なビジネスマンも挫折や失敗の経験はある。“失敗なんかしたことない”なんて言う奴は嘘をついている」とブランソンは言う。同氏の資産は現在49億ドルとも言われている。

「ヴァージンの事業だって、ある時は大成功だったり、またある時は全く駄目だったりする。『ヴァージン・コーラ』がその例で、あれはコカコーラとの違いをうまくアピールできなくて失敗した」

 不屈の精神ではい上がり巨万の富を築いたブランソンは、64歳の現在もなお、ヴァージン諸島に所有する島、ネッカー島でカイトボードを楽しんでいる。

「人生は究極の冒険なんだ。これからもまだまだ限界に挑戦し続けるつもりだ」

 これまでの海と空の冒険で、世界記録を4つ保持しているブランソン。彼が成し遂げた冒険の数々を紹介してみよう。


■熱気球による大西洋横断(1987年)

Benh LIEU SONG/ frickr
「友人のペール・リンドストランドと私は、1987年、熱気球で初めて大西洋横断に成功したチームになった」

■船による大西洋横断の世界最速記録(1986年)

Jose Luis Cernadas Iglesias/ frickr
「1986年、『ヴァージン・アトランティック・チャレンジャーII』という船で、大西洋横断のために米国の港を出港した。一度目のチャレンジでは船が沈み、ヘリコプターに救助されたが、二回目でようやく成功。世界最速記録を樹立できた」

■カイトサーフィンで英仏海峡を横断(2012年)

Toby Charlton Taylor/ frickr
「私は『最高齢で水陸両用の乗り物で、英仏海峡を渡った人物』としてのギネス世界記録も持っている。2012年には、カイトサーフィンで英仏海峡の横断に成功した。息子のサムにもカイトサーフィンの楽しさを教え、二人で一緒に海峡を渡ったんだ」

■マッターホルンへの登頂(2014年)

NickWebb/ frickr
「2014年の夏、息子のサムと甥っ子のノアとともに、マッターホルンに徒歩で登頂することに成功した。残念ながら山頂でサムは、高山病にかかり、ヘリコプターで救助される結果になってしまったが」

■南アフリカの動物保護区・ウルサバへの旅

Diriye Amey/ frickr
ブランソン氏は「ヴァージン・リミティッド・エディション」と呼ばれるリゾート施設を世界5ヶ所で展開。南アフリカのウルサバには、13500ヘクタールの土地の中にプライベートロッジを所有。大自然の中で暮らす、チータやヒョウ、ゾウといった、野生動物たちとの交流を楽しんでいる。
「ここに来るといつでも冒険している気分になれる。これまで訪れた中で、最も美しい場所の一つだ」

文=ナタリー・ロベーム(Forbes)/ 編集=上田裕資

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