ビジネス

2019.09.13 18:00

複業家・植野有砂が語る「退路を絶たない」挑戦のススメ

複業家 植野有砂

なにか新しい挑戦を始めるとき、概ね2つのパターンが考えられる。ひとつは自らを崖っぷちに追いやるように退路を絶ち、その道にどっぷりと専念する方法。もう後がない状況を自ら作り出し、集中することで成功の確率をあげようとする選択だ。

もうひとつは、新しい挑戦に本腰を入れつつと、他の選択肢を用意しておくこと。うまくいかなかったときのための「逃げ道」を意図的に作ることで、リスク分散をし、失敗しても自分のキャリアや生活が行き詰まることがないように備える選択である。

どちらが正解で、どちらが間違いということはない。ただ、働き方が多様化し、パラレルキャリアの選択肢が広がっているいまの時代、後者の安全な考え方で自らのやりたいことを追求したり、キャリアを考えたりする人は多いのではないだろうか。

DJ、モデルといった表の顔を持ちながら、クリエイティブディレクターやアパレルのデザイナーとして裏方の仕事もこなす植野有砂も、後者の「退路を絶たず、意図的に逃げ道を作りながら」前向きに新たな挑戦を続ける人物のひとりだ。

8月19日、Forbes JAPANでは「令和の時代を生き抜く、セルフメイドな生き方」をテーマに読者イベントを開いた。自ら道を拓き、する女性を「セルフメイドウーマン 」と名付け、9月号で100人のセルフメイドウーマン を紹介したが、植野もその一人だ。彼女は、自身が実践する生き方からキャリア観までを、等身大の言葉で語った。



駄目なら駄目でいいや

植野はイベントの冒頭で「最近、自分がプロデュースしたホテルがオープンしたんです」と切り出す。7月7日にプレオープンした「THE √2 HOTEL」である。これは、様々な肩書を持つ彼女の新しい挑戦だった。

「インテリアには元々興味はあったけど、空間デザインは初めて。最初はただのまっさらな“箱”の状態からだったから、すごく難しかった」と植野。

植野は、パースも作らずに、すべて自分の頭の中でイメージを固め、自分らしさを表現した空間を作った。初めてだったため思い通りにいかなかったこともあり、悔しげな言葉を漏らしつつも「でも素人だからこそ、できたこともあると思う」とポジティブだ。

植野はなぜ、これまでやったこともないホテルプロデュースに突然挑戦しようと思ったのか。その根底にあるのは「駄目なら駄目でいいや」の精神である。

「根がポジティブで、嫌なことや失敗があってもすぐに忘れちゃう性格なんです。それもあってか、最初から“できない”と思うことがあまりなくて。むしろ駄目なら駄目でいい、すべてに100%の姿勢で取り組もうって思っています」
次ページ > 肩書を持つようになったきっかけ

文=Forbes JAPAN編集部、写真=福嶋賢人

ForbesBrandVoice

人気記事