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2019.08.29 12:30

トランプの貿易戦争に辟易、米企業の多くに募る不満

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米企業が対応を検討する中で、東南アジアで最大の恩恵を被っているのはベトナムだ。また、コロンビアからの調達や同国への出店を検討する米企業、中米自由貿易協定を結んでいる国の安い労働力や自国との密接な関係に期待を寄せている米企業もある。

懸念される「惨事」の影響

トランプは先ごろ、米企業に対して中国からの撤退を「命じた」。それは、自らに与えられた権限の範囲内の行動だと考えている。金融サービスの米レイモンド・ジェームズのアナリストによれば、トランプの「命令」の多くは、最初は相手にされない。だが、トランプはそれらを実行させる方法を見つける。

一方、英調査会社TSロンバードのアナリストは今年4月、貿易戦争が極端にエスカレートすれば、米国が中国に金融制裁を課し、同国企業による米国内での資金調達を阻止する可能性もあると指摘した。

そうなれば、中国人民銀行は国内の銀行システムを支えるために、ドル準備を利用せざるを得なくなる。金融制裁は予想以上に広範な影響を及ぼし、世界の市場に混乱を引き起こすことになるだろう。

そして、それが中国の景気後退(リセッション)を招く可能性もある。中国がリセッションに陥ることは、東南アジアのほかオーストラリアやブラジルといった一次産品の輸出国にも破滅的な結果をもたらすと考えられる。そうなれば米企業は、トランプの貿易戦争が引き起こした悲惨な状況の中で、新たなパートナーを見つけていくことになる。

編集=木内涼子

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