iPhoneのバッテリー駆動時間に「水増し」、英消費者団体が指摘

(Photo by James D. Morgan/Getty Images)

英国の消費者団体「Which?」によると、アップルはiPhoneのバッテリー駆動時間を大幅に水増しして発表しているという。

「9機種のiPhoneをテストした結果、全ての端末のバッテリー駆動時間がアップルの公式発表よりも短いことが分かった。アップルの公式のスペックには、これらの端末のバッテリー駆動時間が実際よりも18%から51%、水増しして記載されている」とWhich?は述べている。

Which?のテスト結果と、アップルの公式発表の間に最も大きな差が見られたのが、連続通話時間だ。アップルはiPhone XRの連続通話時間を「最大25時間」と記載している。しかし、「実際は16時間32分しか持たなかった」とWhich?は指摘した。

さらに、これほどの食い違いが発生したのはアップルのみだという。Which?は今回、アップルに加えHTCやノキア、サムスン、ソニーの合計5ブランドをテストしたが、持続時間が公式スペックを下回ったのはアップル以外ではHTCのみだった。しかも、HTCの場合はわずか5%、公式スペックに届かないという結果だった。

他のブランドは全て公式スペックを満たしており、ソニーの場合は公式データを21%も上回っていたという。

Which?の調査担当者は「スマホの購入にあたっては、独立した第三者機関による性能検査を確認したほうが良い」とアドバイスした。

アップルはビジネスインサイダーの取材に、次のように述べている。「当社は厳格な基準に基づいて、プロダクトのテストを実施している。Which?は彼らのテスト基準を開示しておらず、当社がその結果を再現することは不可能だ」

しかし、実際のところWhich?はテスト基準を公開しており、それは極めてシンプルなものなのだ。「今回のテストの実施にあたり、Which?は新品の端末をフル充電し、どれほどの長さの通話が行えるかを確認した」と彼らは述べている。

これに対し、アップルの公式サイトの「連続通話テスト」の欄には次のような記載がある。

「iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XRの試作ハードウェアおよびソフトウェアを使用し、GSMおよびCDMA通信事業者のネットワーク上で2018年8月にAppleが実施したテスト結果によります。連続通話時間テストはVoice over LTE(VoLTE)ネットワーク上で実施しました。Bluetoothをヘッドフォンとペアリングし、Wi‑Fiをネットワークに関連付け、Wi‑Fiネットワークへの接続の確認をオフにした以外は、デフォルト設定でテストを実施しました」

ここには非常に細かな技術的ディテールが記載されている。しかし、この記述では実際のユーザー環境でのテスト結果なのか、ラボでの実験結果なのかが見えてこない。さらに、「連続通話時間」が一回の通話なのか、複数回に及ぶものなのかも不明だ。

筆者はアップルにコメントを求めたが現時点で回答は得られていない。現代のスマホのコミュニケーションは、インスタントメッセージが主流になり、通話はそれほど重要ではないという人も多いだろう。

しかし、Which?のテスト結果とアップルの公式スペックの差がここまで開いた原因は一体何なのか、非常に気になることは確かだ。

編集=上田裕資

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