社内Eメールを完全追放した、米Asanaのコミュニケーション革命

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フェイスブック共同創業者のダスティン・モスコヴィッツが立ち上げたプロジェクト管理ツール「Asana」は世界中の企業で利用されている。同社のCEOを務めるモスコヴィッツは、先日開催されたフォーブスのCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)サミットで、企業価値15億ドル以上に成長した同社の運営哲学を語った。

創業10年のAsanaは500人以上の従業員を抱えるが、社内では一切Eメールを用いないという。もちろん、外部企業からはEメールが送られてくるが、社内のコミュニケーションでは一切、メールを使用していない。

「Asanaでは業務の全てがプロジェクトとタスクに分けられ、項目ごとのスレッドで会話が交わされる」とモスコヴィッツは話した。Asanaのプロジェクト管理ツールの有料版は、ウーバーからエールフランスまで、6万社以上に利用されている。

Asanaは先日、年間定額収益(ARR)が1億ドル(約110億円)を突破したと発表した。同社の調査では、Asanaのプロダクトを導入した企業のナレッジワーカーの業務効率は45%上昇するという。

「インボックスにあふれるEメールは、膨大なタスクリストだ。各自が個々の内容を吟味して、適切なリアクションをとる必要に迫られる」

Asanaは間もなく企業の管理職向けのプロダクト「Workload」をリリースし、リーダーが全体のタスクの進捗や、業務のバランスを確認できるツールを実現する。

累計2億1300万ドルを調達し、評価額が15億ドルに達したAsanaは、既に上場を果たした競合らと比べると、まだ比較的規模の小さな企業だ。ソフトウェア開発者向けの業務管理ツールの「アトラシアン」の時価総額は約260億ドル、「SmartSheet」の時価総額は40億ドルに達している。

しかし、モスコヴィッツは今後のAsanaの成長に強い自信を抱いている。

「当社がターゲットとするのは、世界で10億人にものぼる企業のナレッジワーカーたちだ。現状で当社の製品や、競合のプロジェクト管理ツールを利用しているのは、そのうちのわずか2%に過ぎない。この分野では今後の巨大な成長が見込める」とモスコヴィッツは話した。

編集=上田裕資

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