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2019.02.27 07:00

工場向けデジタルツール開発の米Tulip、20億円調達で海外事業拡大へ

PopTika / shutterstock.com

生産現場にオフィス同様のデジタルツールを提供する米Tulip(チューリップ)がこのほど、シリーズBラウンドで1800万ドル(約19億9500万円)を調達した。

リードインベスターとなったのは、シンガポールの政府系投資会社テマセク傘下のベンチャーキャピタル(VC)、バーテックス・ベンチャーズ。前回の調達ラウンドと同様、NEAとピタンゴ・ベンチャーズも出資した。

同社が調達した金額はこれで、およそ3100万ドルとなった。また、金融データ分析の米ピッチブックによれば、2017年6月に行った前回の調達ラウンドの後、同社の評価額はおよそ3900万ドルとなっていた。

マサチューセッツ州サマービルに拠点を置くTulipは、3-Dプリンティングのユニコーン、Formlabs(フォームラブズ)の共同創業者であり、会長でもあるナタン・リンダ―(40)が2014年、マサチューセッツ工科大学(MIT)でコンピュータサイエンスの博士号を取得したロニー・クバットと共に設立した。

14カ国に顧客

Tulipは、デジタルツールや3Dプリンティング、ロボット工学その他の技術ソリューションによって同産業に改革をもたらそうとする企業の1社。多くがVCからの支援を受けるこれらの企業は、工場の機能(と従業員の働き方)をいかに改善し、効率化するかという問題の解決を目指している。

Tulipのソフトウェアは、セールスフォースやアトラシアンがセールス担当者やエンジニア向けに提供しているワークフロー管理のためのソフトウェアと同様、生産性の向上を目的として設計されている。

製造業者のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能なアプリケーションライブラリを提供するほか、製造業者向けのIoTキットも販売する。費用はワークステーションなら数万ドルから、生産ラインなら100万ドルを超える場合もある。

同社の顧客には、シューズブランドのニューバランスや水廻り製品のコーラー、歯科医療用製品のデンツプライなど、14カ国の多数の企業が含まれる。各社は生産量の増加や品質の向上、生産プロセスの改善などを目的として、Tulipのソフトウェアを使用している。

Tulipのリンダー最高経営責任者(CEO)は同社の売上高を明らかにしていないが、昨年は「4倍になった」と述べている。今回調達した資金により、同社は新たに50人を採用し、従業員数を2倍にする計画。また、サマービル本社のエンジニアリングチームを拡大するほか、世界各国にセールスチームを組織したい考えだ。

MITで出会った仲間と起業

イスラエル生まれのリンダ―は、自国にあるサムソンのエレクトロニクス研究開発(R&D)センターにゼネラルマネージャーとして勤務した後、米国に移住。ボストンにある産業用ロボット開発のリシンク・ロボティクス(昨年廃業)でデザイナーとして働いた。

その後、MITのメディアラボで出会ったマクシム・ロボフスキー、デービッド・クレイナーと共に、2011年にFormlabsを設立した。

同社は3Dプリンターの開発にあたってクラウドファンディングサイトのキックスターターを利用。およそ300万ドルを調達した。その後も成長を続けている同社の評価額は昨年、10億ドルを超えている。

編集=木内涼子

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