ビジネス

2019.02.13

【独自】元スカイプジャパン社長が「プログラマー起業家」限定の投資ファンド設立 理系文系の分断に課題感

MIRAISE LLCの岩田真一代表


なぜ「プログラマー起業家」は、日本に多くないのか

プログラマー起業家が世界で主流なのに、なぜ日本ではあまり多くないのだろうか。岩田は「文系理系を分けた教育」に問題があると指摘する。

「例えばアメリカでは、コンピューターサイエンスをとっている人が、経営学を一緒にとって、ダブルメジャーで卒業することが普通にある。その経験をいかして、起業することもしばしば。しかし、日本では文系と理系でキャンパスが違うこともある。理系分野に進むと、ビジネスは一生しない、あるいは怖い、と決めつけやすくなる。逆も然りだ。この分断が、プログラマー起業家の数を物語っている」。

しかし、実際にプログラマー起業家がいないわけではない。彼らは多くの場合、たらい回しにあって、駆け込み寺のように岩田のもとへ来ているという。岩田はプログラマーが起業すると思い立った時点でかなりリスペクト対象になると思っている。彼らを成功させて、ロールモデル化させることが今回の投資の狙いだ。

ミレイズの設立について、スカイプ共同創業者で岩田がパートナーを務めるATOMICOのCEO、ニクラス・ゼンストローム氏はコメントを寄せている。「世界で最も大きな成功を遂げている企業のいくつかは若きエンジニアによって創立されました。一方で投資家サイドは彼らをサポートできるほど大胆であるかということには疑問を持ちます」




すでに投資が決まっている企業は以下の通り

1. Pegara Inc.
GPU EATER というAI(機械学習・深層学習)の計算に使うGPUクラウドを提供。同社の技術を使って、比較的安価なGPUをクラウド化することで非常に安価で提供する事が可能になる。エンジニアCEOの市原俊亮さんと、天才プログラマのCTO中塚晶仁さんが設立したスタートアップ。

2. エストニアのAIスタートアップ

3. いまチカ
「AIでお店の経営をスマートにする」をミッションとしているテクノロジースタートアップ。ファウンダーは伊利夫(日本のエンジニア、起業家の1人)さんで、過去にイグジット経験もあるシリアルアントレプレナー。

プログラマー起業家を支えるメンター陣は以下の通り

坂本 孝治 - TBM 取締役COO
Zach Tan - PROWLER.io, 元Infocomm
三島 健 - JTB Web販売部戦略統括部長、元Expedia北アジアCEO
松村 映子 - 連続起業家
首藤 一幸 - 東京工業大学 准教授
海野 弘成 - Increments ファウンダー CEO
尾下 順治 - AXEL MARK CEO
佐々木 康弘 - Takram ディレクター, ビジネスデザイナー

岩田真一◎東京都八王子市出身。慶應義塾大学理工学部物理学科卒。ロータス、マイクロソフトにてソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタート。2001年、P2Pテクノロジーを開発するアリエル・ネットワーク社の創業に参加。その後Skype社に入社し、スカイプジャパン株式会社を設立、同社代表取締役となる。2012年、Skype創業者ニクラス・ゼンストローム氏が設立した欧州最大規模の独立系VCであるATOMICOに参加。同社パートナー。2017年、シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト育成プログラムKauffman Fellows Programを修了しKauffman Fellowとなる。2018年MIRAISEを設立、同社CEO兼代表パートナー。東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。産業技術大学院大学客員教授。未来スケープ代表。

文=井土亜梨沙 写真提供=岩田真一

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