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2019.01.29 12:40

深すぎるファッション業界の「廃棄」問題と改善の兆し

仏ブランド「VETEMENTS」はリーバイスのビンテーンジジーンズを再構築して販売(Getty Images)

資源枯渇や環境汚染がより深刻になり、「持続可能」「サステナブル」といった言葉があらゆる業界のキーワードとなっている。こうした現状と向き合うとき、繊維ファッション業界でまず取り上げられるのが、売れ残り商品の廃棄問題だ。

前回の記事ではラグジュアリーブランドによる「ブランドを守るため」の廃棄の問題を取り上げたが、理由はどうあれ、廃棄は業界全体の問題だ。ファッション業界はその構造的に、廃棄を生みやすい。今回はその大きな要因のひとつである「過剰在庫」について考えてみたい。

あらゆるところで余剰が出る

過剰在庫とは、「需要以上に生産したため売れ残り、店舗や倉庫などに蓄積している商品」のことだ。なにか品物を売る以上、在庫は切っても切り離せないものだが、なぜ「過剰」なまでに蓄積されてしまうのだろうか?

これには大きく3つの理由がある。まずひとつは、繊維・ファッション業界特有の複雑な業界構造だ。

この業界は川上から川下に至るまで、長きにわたって分業化が行われてきた。上流から辿っていくと、まず「川上」にあるのが、綿やウール等の原料を調達する原料メーカー、それを糸にする紡績メーカー、さらにそれを織物や編み物にする機屋やニッターなど。



そこでできた素材や生地を製品化していくのが「川中」の役目で、裁断・縫製する縫製メーカー、それらを一貫して調整する繊維商社、商社から自社の企画にあった生地を仕入れ製品化して販売するアパレルメーカー等が存在する。

そして、最終的に消費者に向けて販売する百貨店や量販店、ファッションビル等のデベロッパーが「川下」だ。さらに、これら川上〜川下のあらゆるサプライチェーン間には、在庫を備蓄する問屋が存在する。

こうして膨大な多くのサプライヤーが絡み合う中で、それぞれのサプライチェーン間には当然ながら製造ロットや仕入れロットが存在する。原料を仕入れるなら最低○kg〜、生地は○m〜、製品なら○枚〜、という具合に、必ずしも必要とする数量のみを仕入れられるわけではない。

この段階で既に、消費者が求める数量のみを製造することは非常に困難であると言える。さらに、小売店で「在庫がなくて販売できない」という機会損失を避けるため、そこに納めるサプライヤーは見込みで少し多めに生産しておくのである。もちろん毎回見込み通りに売れるわけではないため、需要を読み違った商品は過剰在庫として残ってしまう。
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文=福屋 剛

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