直径9マイル(約15キロメートル)のチクシュルーブ隕石の衝突は、地球上の生物の発展を大きく変えた。隕石は周辺の地形を大きく変え、深さ1マイルのクレーターができた。このクレーターに海水が流れ込み、クレーターの中心で衝突し合うことで第2波も発生した。
研究者たちは当時の陸地と海底の地形学を考慮に入れながら、この時の津波のモデルを作った。近年で最大の津波は2018年5月にニュージーランド付近で記録された78フィート(約24メートル)の津波だが、隕石の衝突で発生した津波はその68倍だった。
研究結果はワシントンDCで開催された、アメリカ地球物理学連合の年次総会で発表された。この隕石の衝突では、津波だけでなく衝撃波が地殻内を駆け巡った。それにより塵や岩石が大気に舞い上がり、摩擦による稲妻や森林火災が発生。動物は生きたまま焼かれ、太陽光が数年間にわたって遮断され、硫酸の雨が降り注いだ。
塵が落ち着いて地球が回復へと向かい始めた頃には、地球上の生物の75%が死んでいたという。しかし、生き残った有機体が繁栄し、進化することで新たな種も生まれた。敵が少ないことによって種の多様性が高まり、現在の哺乳類や霊長類などの祖先も誕生した。