ビジネス

2018.11.13 06:30

「近江商人の三方よし」で日本の伝統を1000年先へ

「和える」代表取締役 矢島里佳

30歳になった矢島里佳は遺書を書いた。「和える」は創業8年目。「12年後には私は退任して、相談役に退き、次の代表を迎え入れます。常に現代の感性と先人の知恵を和えることで、日本の伝統を次世代につないでいきたい」。

大学4年生で起業。日本各地の伝統産業の職人たちと共に、幼少期から使えるオリジナル商品を企画、販売する。昨年にはアジア太平洋経済協力の「APEC BESTAWARD」で大賞とBest socialimpact賞に選ばれた。

日本の伝統を100年先、1000年先までつなげるには、持続的なビジネスモデルが必要だ。彼女の経営指針は「近江商人の三方よし」。

「自分も嬉しくて、買った相手も嬉しくて、社会も嬉しい。そうすると長く続いていきます」。

今年、京都に自らの拠点を移した。伝統工芸が産業として息づく京都の美しさに惹かれた。「 美しさには水面下で努力が必要です。ビジネスモデルも美しい方がいい。綺麗事のように聞こえるかもしれませんが、努力して難しいことを実現できれば社会を変えるきっかけになります」

矢島里佳◎1988年東京都生まれ。大学在学中の19歳から伝統産業に関する記事を執筆、情報発信する活動を始めた。2011年3月に“0から6歳の伝統ブランドaeru” を創業。13年世界経済フォーラム「ダボス会議」メンバーに選出。

text by Michiko Nariai photograph by Munehiro Hoashi(Avgvst)

この記事は 「Forbes JAPAN ストーリーを探せ!」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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