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2018.11.02 11:00

黒川光晴|コニャックの王「ルイ13世」を選んだ男、「ルイ13世」に選ばれし男

樹齢100年を超えるオーク材で造られた樽を使い100年もの長きにわたって完成させた酒を楽しむ。コニャックの、いや、すべての酒の中で究極のラグジュアリーともいえる「ルイ13世」を愛する男たちのモノローグ。

ー第2回 黒川光晴(株式会社虎屋 取締役副社長)ー
時空を超えた愉悦を共有
初めてレミーマルタンのコニャックを飲んだのは……まだ学生のころだったでしょうか。菓子屋という家業にありますせいか自然な甘味をもつお酒が好きで、コニャックにはまっていたころだと思います。ただ、(その最上位アイテムである)「ルイ13世」の深く、複雑な味わいをしっかりと感じとれるようになったのはやはりもう少し大人になってから……5年ほど前でしたでしょうか。重層的なアロマや深みのあるコク、鼻孔から広がって長い余韻をもたらす香り……いまはいただくたびに何と完成度の高いお酒なんだろう、と。並ぶべきものが他にない、唯一無二のコニャックだと感じています。


2018年10月に改装した「とらや 赤坂店」にて。

飲むのはもっぱら自宅で。音楽が好きなので、アナログレコードなどをかけながらいただくことが多いですね。仲のよい友人が遊びにきたら一緒に飲むこともあります、それほど頻繁ではありませんが(笑)。先日は珍しく外でルイ13世をいただく機会がありましたが、その長い余韻にひたりながら帰宅したところ、もう1杯飲みたくなってしまい……自宅で“追いルイ13世”してしまいました。この小さな宇宙を感じるようなコニャックを飲んでいると、思いは際限なく広がっていって、自分でも思いがけない発想が生まれたりすることがあります。


「虎屋」の次代を担う方らしく甘味のあるお酒が好み。

「ルイ13世」は1本の中に100年を超える原酒がブレンドされていますが、100年前のコニャック地方から2018年の東京へ、と時空を超えた楽しみを共有できるのはなんと素晴らしいことかと思います。私ども「虎屋」はおよそ500年の歴史のなかで、様々な菓子をつくってまいりました。その一つに、江戸時代初期におつくりした記録が残る、「雪餅」という生菓子があります。冬、原料のつくね芋が一番おいしいときだけにおつくりし、おいしく召し上がって頂ける期間がわずか数時間という繊細な菓子です。当時の意匠や製法は今とは異なっていたようですが、100年前の大正7年の菓子見本帳には、現在と同じ意匠で描かれており、今日でもご注文いただくことがあります。 一方で、“伝統を守る”とよく言われますが、これは何も変えずにただ現状をキープするのではなく、その時々の最高のものを求めて変化を恐れず為すべきことをしていく、これこそが結果的に、振り返れば“伝統を守る”ということにつながっていくのではと考えています。

2015年には実際にフランス、コニャック地方を旅して、ルイ13世の蒸留所を訪問する機会に恵まれました。お酒の世界においては門外漢ではあるものの、守るべきところは守り、変えるべきことは変える、老舗の気概を肌で感じることができました。「ルイ13世」はそのボトルの中に100年の時空が凝縮したような傑作ですが、私どもの菓子も「100年先へのプレゼント」といえるような普遍的な存在でありたいと願っており、親しみを感じています。


ルイ13世 LOUIS XIII
フランス南西部の地名にちなんだコニャックは、仏AOC(原産地呼称)統制により、コニャック地方原産のブドウを100%使用するが、その中でも最上級であるグランド・シャンパーニュ産のブドウを100%使用したコニャックの最高峰が「ルイ13世」。1本のボトルの中には、100年の時間をかけてようやく完成する、1200種超のオー・ド・ヴィーのブレンド。バカラ社が1本ずつ手作りするデキャンタ(ボトル)は1874年の誕生以来ほとんどデザインを変えておらず、個々にナンバリングが施されている。まさに珠玉のプレミアムコニャック。
度数:40度
容量:700ml
参考小売価格:315,000円(税別)
問い合わせ:www.louisxiii-cognac.com

黒川光晴 Mitsuharu Kurokawa
株式会社虎屋 取締役副社長
1985年東京生まれ。2008 年米・マサチューセッツバブソン大学経営学部卒業。同年虎屋入社後、東京工場で菓子製造に従事。10 年仏・とらやパリ店勤務。16 年専務取締役に就任後、18年より現職。父である 17 代・黒川光博氏とともに、虎屋の経営に携わる。

Promoted by RÉMY COINTREAU JAPAN text by Miyako Akiyama | photograph by Kenta Yoshizawa

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