ドローン活用で「データドリブン農業」を実現する英国企業

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数千年もの間に渡って、農業には水や肥料、種まきに対する人間の目利きが必要とされてきた。しかし、最近では機械学習を用いて収穫高や利益を増やすケースが増えている。

ロンドンに本拠を置くアグリテック(農業テクノロジー)のスタートアップ企業「Hummingbird Technologies」は、過去2年間に渡って農地をスキャンし、トラクターが効率的に作業を行うための地図を作製するソフトの開発を行ってきた。

現在、Hummingbirdの従業員数は40名で、売上高は今年150万ドルに達する見込みだ。同社はドローンパイロットを雇い、農地の精緻な航空写真を撮影し、カメラの性能によっては草の葉1枚まで撮影できるという。Hummingbirdが開発したソフトウェアは、農作物の数や高さ、葉の面積などが測定できるほか、農作物をスキャンして病気の兆候がないか確認することができる。

同社のソフトウェアは、機械学習の一種であるコンピュータビジョンを用いて雑草の量やクロロフィル濃度を人間よりも速く確認することができる。

「医師が患者の体を見て健康状態を測定するように、我々は作物の量や色、樹冠の成長、クロロフィルに関するデータから作物の健康状態を読み取っている」とHummingbird の創業者のWill Wellsは、ロンドン中心部のソーホー・スクエアにあるオフィスで語った。

彼によると、このようなデータは衛星写真からは読み取れないという。Hummingbirdは、英国以外にオーストラリアやウクライナ、ロシア、ブラジルでサービスを提供している。料金は取得するデータに応じて異なり、1ヘクタール当たり年間5〜20ポンド(約3000円)となっている。

農家が自前のドローンを使うようになれば、料金をさらに下げることが可能だ。Hummingbird のチーフ・サイエンス・オフィサー、Ed Plowmanによると、500ヘクタール(ニューヨークのセントラルパーク1.5個分の面積)を1時間ほどで自律飛行できるドローンは2万ドルほどするが、投資価値は十分あるという。

100メガピクセルのカメラを使えば、1ピクセル当たり5ミリの解像度で農地を撮影することができる。Hummingbirdのシステムを使う場合、通常2週間に1度のペースでドローンを飛ばすが、ジャガイモなど一部の作物は3日に1度のペースで撮影する必要がある。
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編集=上田裕資

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