今から14億5000万年後、世界は海に沈むかもしれない

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今から14億5000万年後には地球の地殻変動が停止し、地震がなくなるかもしれない──。地球の内部では地殻変動によって常にガスや物質が循環し、火山活動や地震も発生している。しかし。科学誌「Gondwana Research」に掲載された論文によると、そのメカニズムがいずれ停止するようだ。

中国地質大学の地質学者Qiuming Chengは、地球の歴史と数十億年の間のプレートの動きを研究して将来を予測した。Chengが地球上の地殻変動の歴史を研究した結果、この30億年でマグマの活動や周期が低下しており、そこから地球内部の温度の低下率を計算した。

その結果、地殻変動が14億5000万年後にはなくなるという算出結果になった。このデータは、地殻変動のない世界で何が起きるかを想定する根拠となり、他の惑星の研究に役立つ可能性がある。

地殻変動がなくなると、地質学の観点から見た世界は今とは全く異なるものになる。まず、マントルが冷えて溶岩が地殻の下を移動できなくなるため、地震や噴火がなくなる。そしてプレートの動きが止まることにより、新大陸の形成や山脈の出現もなくなる。

それでも地表が変化するとすれば、それは侵食によるものになり、山が削られて海に流れ込む現象は続く。標高の高い山も侵食されて丘になる。現在もそれは起きているが、地殻変動がなくなれば海には山の浸食で発生した堆積物が蓄積され続ける。その結果、海面が上昇する。山が低くなって海面が上昇すれば、多くの場所で洪水が発生する。世界の全てが水没してしまう可能性もある。

一方で、地球内部で起きる放射性崩壊によって発生する熱が、どのように放出されるのかは大きな謎だ。現在は地殻変動や火山活動によって放出されているが、地殻変動や火山活動がなくなれば別の何らかの形で熱が放出されるはずだ。

また、現在は地殻変動によって大気中の二酸化炭素が地球内部に取り込まれているがそれもなくなるため、大気中のガスの構成も大きく変わるだろう。

編集=上田裕資

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