ビジネス

2018.07.30 18:00

マーケターがストーリーテリングを優先すべき3つの理由


3. ストーリーテリングは重要な戦略ツールであると同時に、断片化したメディア世界において消費者に働きかけるための重要な戦術上のツールにもなる。メディアの断片化が顕著な現在、消費者はそれぞれが異なる体験を求めるだけでなく、異なる伝達方法を求めている。

消費者があなたの会社のために時間を割くべき理由は何か? ストーリーテリングは、マーケティング対する独創的アプローチであるだけではなく、消費者を自社ブランドへといざなう全く異なる入り口なのだ。

──ストーリーテリングを上手く使ったブランドの例と、その成功理由を教えてください。

ジェームズ・ウォーレン:ストーリーテリングで成功したブランドは、ヤンキースだ。これは、100年以上にわたり彼らのブランドの根幹となっている。ヒーローの道のりを語るだけでなく、挫折ですらヤンキースの伝説へと変えている。

オーナーのジョージ・スタインブレナーは、ストーリーテリングの使い手だった。彼はヤンキースのストーリーをうまく捉えただけでなく、それに火をつけることができた。苦難の時でも、ヤンキースは個々の障害を受け入れ、償いのチャンスを模索した。元選手のダリル・ストロベリーが良い例だ。

現在ヤンキースは、同球団専門チャンネルのYESネットワークで、新旧選手らの輝かしいストーリーを紹介する番組や、著名人のヤンキースファンのストーリーを紹介する番組を放送している。重要なのは、これらが単にブランドの持つストーリーではなく、ニューヨーカー、ファン、ヤンキースの間で共有されるストーリーという点だ。ヤンキースはこうして失敗、償い、成功のストーリーを利用することで、自らをより人間臭く身近な存在に仕立て、ファンとブランドとの距離を縮めた。

ヤンキースのストーリーはある意味、自前メディアの枠を超え、自分たちとは直接関係のないメディアにまで広がっている。

ヤンキース一筋を貫いた元主将のデレク・ジーターは数年前、アスリートたちが自身のストーリーを共有する場となるメディア『Players’ Tribune』を立ち上げた。実際、ジーターの元チームメイトも数人、ここで自分のストーリーを共有している。綿密に組み立てられたメッセージではなく、ストーリーを通じた経験の共有という形をとるため、より深いコミュニケーションを実現している。

編集=遠藤宗生

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