ビジネス

2018.05.31

「オーストラリアから世界を狙う」Canva共同創業者インタビュー

(写真左から)クリフ・オブレヒト 共同創業者兼COO、メラニー・パーキンス 共同創業者兼CEO、キャメロン・アダムズ 共同創業者兼CPO



Canvaのコントリビューター・ページ(現在は英語のみ)

──2014年にフィリピンの首都マニラに海外オフィスを開設した理由は?

クリフ : Canvaを立ち上げた当初、世界中のフリーランスの人たちにさまざまな仕事をお願いした。その中で、マニラでカスタマーサービスを手伝ってくれたヘイゼルという女性がいて、とても素晴らしい働きぶりだった。我々は急成長していたから、彼女のような人たちを集めてカスタマーサポート・チームを作りたいと考えた。

マニラで探し始めたのは、単純に彼女がマニラにいたから。やがてアメリカやオーストラリアの企業向けにカスタマーサポートをやっているグループを見つけた。彼女たちに連絡をとって、カスタマーサポートのチームを作ってくれないかと頼んだ。最初は5人のサポートチームから始まって、次第にどんどん大きくなって、今ではほかの業務も担うようになった。

──2つのオフィス間でのコミュニケーションはどのようにとっている?

メラニー : 3カ月ごとにシーズン・オープナー(始業式)をやる。そこで2つのオフィスが一緒になって、チームごとに四半期の目標を発表する。そのためにマニラの社員がシドニーに来たり、シドニーの社員がマニラに行ったり。互いの目標を知り、他にどんなプロジェクトがおこなわれているかを把握して、会社の方向性を共有するよい機会になっている。

──今後、ほかの国にオフィスを増やす予定は?

クリフ : 別々の国のオフィス間できちんとコミュニケーションをとるのが難しいことは充分理解しているので、やたらと増やしていくつもりはない。本社的役割のオフィスをしっかりもった上で、将来的には海外に支社を設けるかもしれない。

ただすでにインドや日本など、各国のローカル市場に素晴らしいグロース・チームがいる。日本では2017年5月にKDDIウェブコミュニケーションズと独占業務提携契約を結んだ。

──単純に市場規模だけを考慮するなら、フィリピンよりも中国やインドにオフィスを作る方が合理的では?

クリフ : 市場規模の話をするなら、そもそもオーストラリアだって非常に小さい。でも我々はオーストラリアから世界市場を狙っている。だから市場規模は重視していない。開発、デザイン、カスタマーサポートのチームをできるだけ同じ拠点に集約するようにしている。

マニラ・オフィスはローカル市場だけを見るのではなく、世界のすべての市場を見る。シドニーにインドやブラジルなどそれぞれの国の担当者がいて、各国のローカル市場にもそれを補完するチームがいる。

メラニー : 2013年8月にCanvaを立ち上げた当初から、海外からのアクセスがすごかった。だからロケーションを問題だと感じたことはない。ほぼ世界すべての国からアクセスがあった。北朝鮮のユーザーからもアクセスがあったくらい(笑)。

──フィリピンの人件費はオーストラリアよりもはるかに安い。そのこともCanvaの競争力につながっているか?

メラニー :我々にとってマニラに拠点を置く利点は、豊富なタレント(人材)を集められること。コピーライトからデザインまで素晴らしい人材がたくさんいる。

クリフ : あとマニラにはとても洗練されたデザイン文化がある。アメリカのデザイン文化に近いように思う。またフィリピンはカスタマーサポートのハブとしても最適。オーストラリアで素晴らしいカスタマーサポートのチームを作るのは難しいが、フィリピンだとすぐに見つけられる。

キャメロン : じつは、我々はマニラでエンジニアの採用も始めていて、優れたエンジニアを何人か見つけた。これからさらに採用数を増やしていく予定だ。

クリフ : マニラにカスタマーサポートとデザインのチームを作ったので、すでに土台ができている。他の国で新しい業務チームを作るのは非効率的。同じ場所に業務を集約できるならそうしていきたい。

メラニー : フィリピンへの投資は今後さらに加速していく予定だ。本当に優れたタレントが集まっていて、我々は素晴らしい場所を見つけることができて幸運だと思っている。

インタビュー=増谷康

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