ビジネス

2018.06.04 08:30

米国最大の女性起業家特化ファンド「リシンク・インパクト」

ベンチャーキャピタリストのジェニー・エイブラムソン

社会的意義だけではなく、利益獲得も両立させる社会インパクト投資。可能性を秘める女性の成功を支援する投資は、過去にない規模の資金を集めている。


教師向けの新しい専門学習サイトのサービス「リーダラリー(Leaderally)」の創業者、キンバリー・リンソン(46)は2人の女性共同創業者とともに、長い間勤めた家庭教師会社のマネジメント業務を辞め、起業の世界へと飛び込んだ。

サイトのベータ版の公開を間近に控え、ワシントンDCにあるコワーキングスペース「ヘラ・ハブ(Hera Hub)」でベンチャーキャピタリストのジェニー・エイブラムソンに向けてプレゼンをしていた。当然ながら、緊張の面持ちだ。

プレゼンを聞いたエイブラムソンはメモを走らせていたiPadのペンを置き、リーダラリーについて「わくわくする」と言いながらも、リンソンのターゲットを当初の女性教師ではなく「チャータースクール(特別認可学校)の教師にしたらどうか」と提案した。チャータースクールの教師は公立学校の教師と比較すると経験は浅いながらも、新しい方法への順応度が高い。

有力なローカルチャーターであるD.C.Prepの委員を務めるエイブラムソンは、同分野にも明るい。また、フルブライト奨学生としてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでゲノム科学を学び、ハーバード大学でMBAを取得する傍ら、ティーチ・フォー・アメリカのプログラム戦略にも関わった経験がある。

「神託が下った!」と感激したリンソンは、次のステップへの意欲を見せた。

エイブラムソンは、社会的インパクトのある技術指導型の女性のスタートアップを支援するVCファンド「リシンク・インパクト」の設立者で、マネージングパートナーも務める。同社は2017年3月、1億1200万ドル(約118億7200万円)のファンドを立ち上げた。金額はそう大きくないように思えるかもしれないが、米国における女性起業家を支援するVCとしては最大のものだ。
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文=アシュリー・エベリング 写真=ジャメル・トッピン

この記事は 「Forbes JAPAN 「地域経済圏」の救世主」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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