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2018.06.04

フィンテックの次にフードテック・ブームが来ると確信できる10の理由

Fedorovacz / shutterstock.com

金融(フィンテック)、教育(エドテック)、農業(アグテック)、宇宙(スペーステック)……。人工知能をはじめとする急速なテクノロジーの進化は、ソフトウェア業界だけでなく、従来型のあらゆる産業をのみこもうとしている。

では次に変革の波にさらされるのは、いったいどの産業か?

最近、シリコンバレーの起業家や投資家たちの間でとくに注目されているのは、食肉(食品)業界におけるイノベーション、すなわち「フードテック」だ。彼らは今後数年以内に大きな変化が食肉業界に訪れると見込んで、すでに動き始めている。

関係者への取材をもとに、食肉をめぐるイノベーションに注目すべき「10の理由」を紹介しよう。

1. 投資リターンが大きい

現在、世界の食肉業界の市場規模はおよそ7500億ドル(約80兆円)。中間層の人口増加などによって、2050年までにその需要は2倍に増えると見込まれている。この業界構造が根底から変われば、大きなチャンスが生まれる。

また現在の食肉の生産・流通システムは非効率であり、「代替肉」(植物由来の肉や、動物の幹細胞を培養して人工的に作った肉)の普及が進めば、食品企業にとっても数十億ドル規模のコストダウンにつながる。

2. 有望なスタートアップが登場している

アメリカやイスラエルを中心に、勢いのあるフードテック・スタートアップが次々に登場し、多額の資金調達に成功している。

Memphis Meats(アメリカ):培養肉のスタートアップ。2017年夏のシリーズAラウンドで大手VCなどから1700万ドル(約19億円)を調達。

Beyond Meat(アメリカ):植物由来のひき肉やソーセージ、鶏肉を開発。小売大手ホールフーズをはじめ、すでに全米9000のレストランや小売店で販売。

Impossible Foods(アメリカ):植物由来の肉と乳製品を開発。2017年、アメリカ国内の複数のハンバーガーチェーンに植物由来の牛ひき肉を提供開始。

SuperMeat(イスラエル):ニワトリの幹細胞を培養した鶏肉を開発。2017年、シードラウンドで300万ドルを調達。

3. 著名なビジネスリーダーが支持している

サーゲイ・ブリン(グーグル/アルファベット)やドン・トンプソン(マクドナルド)、李嘉誠(長江実業グループ)など業界のリーダーたちは、「代替肉こそが最も有望なテクノロジー」だと明言している。またビル・ゲイツ(マイクロソフト)やリチャード・ブランソン(ヴァージン・グループ)などは、Memphis Meats(上記)にすでに多額の投資をしている。
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文=増谷康

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