それは、「カラーバリエーションの追加」という戦略だ──。
この情報は「Rosenblatt Securities」のJun Zhangからもたらされた。ティム・クックがiPhone Xをハイエンド端末として押し出す一方で、iPhone 8がやや地味な存在感となっていることは否定できない。
ニュースサイト「Apple Insider」でMalcolm Owen記者は次のように述べている。
「Jun Zhangの情報によると、アップルは今年発売するLCDディスプレイ搭載の『iPhone 8s』のカラーバリエーションを強化する意向だという。青や黄色、ピンクなどの鮮やかな色彩で若い世代の消費者を惹き付ける狙いのようだ」
アップルは今年、昨年の3モデル体制を踏襲すると噂されている。同社は5.8インチと6.5インチのOLED端末2機種に加え、6.1インチのLCDモデルを発売すると見込まれる。
LCDモデルは799ドル程度の廉価版になるとの予測もあるが、アップルはこのLCD端末に、高価格のOLED端末には無いカラーバリエーションを持たせ、差別化を果たす意向だという。
この端末は言うなれば、新世代の「iPhone 5C」的ポジションになるのかもしれない。ガジェット好きの間では、iPhone 5Cはかなり低評価だったのが事実だ。
しかし、iPhone 8Sをカラーバリエーションの豊富さで消費者に売り込もうというアップルの戦略は、あながち間違いではないかもしれない。この戦略によりアップルは、新たな顧客層にアピールできるかもしれない。
iPhoneの売上は落ち込みが続いており、市場シェアも縮小が続いている。同じ種類の顧客を相手に同じ戦略をとっていたのでは、状況は変わらないだろう。アップルは新たな市場を見つける必要があるのだ。
iPhone Xの後継機種であるiPhone X Plusがアップルの現状維持的側面を担うのに対し、iPhone 8Sに与えられる使命は、より安価なLCDディスプレイの採用で価格を抑え、これまでとは異なるユーザーにアピールすることだ。カラーバリエーションにより、ファッション性と楽しさを打ち出すことは理にかなっている。
ティム・クックはこれまで新機種に既存の公式を当てはめる戦略をとってきた。現在のアップルにとっては、それで十分なのかもしれない。しかし、その戦略が今度も成功するかどうかは、今年の秋になってみなければ分からない。