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2018.04.02 08:00

ドバイで気づいた「ゼロスタート」のまちづくり

ドバイの街並み

地域活性という言葉ってマイナスから始まっていますよね? 地域に活気がないから、「地域活性」という言葉が出てくるのであって、地域が賑やかで活気があれば、そんな言葉はそもそも出てきません。

高度経済成長期の頃、「地域活性化」という言葉はあったのでしょうか?

人口減少、閉塞感、空き家、若者がいないなど課題が山積していて、地域活性化の施策も、それらを解決するためのものばかり。言い換えれば、大人の世代が作ってきた課題を若者に解決してもらおうというのが、いわゆる「地域活性化」ですが、はたして若者はわくわくするでしょうか?

「市長をやりませんか?」というキャッチコピーで、全国から大学生を集め開催してきた「鯖江市地域活性化プランコンテスト」は、ありがたいことに全国に広がり、各地で同様のコンテストが開かれるようになりました。でも、鯖江市で開催してきたこれまで10年を振り返ると、提案されるのは、ほとんどが現状の課題を解決するためのプランでした。

「あなたは福井県鯖江市の市長です。鯖江市をどのような街にしたいですか?」という未来志向の課題設定をしたにもかかわらず、です。おそらく、これは前もって鯖江市の現状をインプットし過ぎてしまったからだと思います。

参加者には鯖江市についての事前勉強と、市民の方へのヒアリングを徹底的にしてもらってきましたが、鯖江市の現状を知りすぎてしまったことで、逆に市民の方に共感しすぎてしまい、「過去」に縛られる雰囲気をつくってしまったのだと思います。

昨年9月に第10回目の鯖江市地域活性化プランコンテストが終わったあと、今後継続して開催するならば、もっとわくわくするようなプランを作ってもらいたいと考え、そのヒントを得るために、私が最も“プラスオーラ”を感じていたドバイに行ってきました。

2月のドバイは、気温が16度〜26度というとても過ごしやすい気候です。記録的な大雪に見舞われた鯖江市から暖かいドバイに降り立つだけで幸せな気分でしたが、さらに幸運なことに、年に4、5回しか降らないという雨に降られました。しかも今年初の雨!

もともとドバイは砂漠しかなく、その上につくられた人工都市なので、雨が少ないのは当然です。しかし、人工的にとはいえ、あちこちに樹々があり、草や花も生えているので、ここがかつて砂漠だったとはとても思えません。



せっかく来たので、ドバイ産の物を買おうと探しましたが、「made in dubai」のものは何もありません。もとが砂漠なので、これといった産業もない。もちろん伝統工芸品などもなく、歴史的な建造物もほとんどありません。

しかし、ドバイには世界一がたくさんあります。世界一の建造物であるブルジュ・ハリファや、世界一の人工島パーム・アイランドなど、次々と「世界一」をつくってきましたし、いまもつくり続けています。もともと何もなかったからこそ、「世界一」にこだわっているのではないかと思いました。
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文=竹部美樹

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