ビジネス

2018.04.14 11:00

鬱屈としていた店長たちを変えた伴走型の「モチベーション改革」

嶋田泰貴 トリドールジャパン関東営業部6課2エリア(静岡・浜松)マネージャー(当時)

「時空を超える、自分を超える 異次元のワークスタイル」と題して“働き方”を特集したフォーブス ジャパン5月号(3月24日発売)。「表情が暗かった」という店長たちを奮起させた、トリドールジャパンのモチベーション改革とは。


全国に約790店舗(2018年2月末現在)を構える「丸亀製麺」などを運営するトリドールジャパン。同社関東営業部6課2エリア(静岡・浜松)でマネージャー(当時)を務める嶋田泰貴は、着任当初をこう振り返る。

「店長たちが下を向いている店舗が多かった。表情が暗いと店舗全体も暗くなります。ポテンシャルの高い店舗が多いのにも関わらず、積極的な施策ができておらず、もったいないと思いました」

嶋田はまず店長たちのやる気を定量的に把握することから始めるべく、社員へのアンケートを通じて組織状態を可視化するサービス「モチベーションクラウド」を活用。

サーベイの結果、明らかになった課題は嶋田が店長を「公平に評価する」ことと「毅然とした態度で指導にあたる」ことだった。すぐさま、店長のキャリアアッププラン・アクションプランを策定することから始めていった。単なる数値目標管理に留まらず、「どんな店長になりたいか」「どんな店舗にしたいか」──将来へ向けてのイメージングや、そのために必要なプロセスを具体的に落とし込み、短期〜長期で達成期日を設定。

また、週報のやり取りやコミュニケーションシートを活用した面談など、頻繁にフィードバックを行うようにし、取り組みがどのように作用しているのか、意識できる環境づくりを行った。「目標は本人自身が自発的に考えて初めて意味を持ちます。目標を立て、それを達成するために必要な企画を考え、実行し、もし効果がなければ、その原因を一緒に考える。同じ目線で併走するようなアドバイスを心がけました」

その結果、取り組みから3か月間で社員のエンゲージメントを表すスコアは5.3ポイント上昇。また売り上げは前年比110.8%を記録した。

同社に限らず飲食業界では慢性的な人手不足に悩んでいるが2017年9月以降、このエリアから退職者は出ていない。

「『目標なんてない』と言っていた社員が、昇進試験を受けたんです。『こんな上司になりたい』という背中を少しでも見せれたら、と思います」



トリドールジャパン◎1990年6月に創業。讃岐釜揚げうどん「丸亀製麺」、焼鳥ファミリーダイニング「とりどーる」などを展開している。関東営業部6課2エリアは2017年9月に「エンゲージメントサーベイ」を実施し、当時のエンゲージメントスコアは69.1だったが、3か月間で79.4に。5.3ポイントもスコアがアップしている。

文=大矢幸世 写真=若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN 時空を超える、自分を超える異次元のワークスタイル」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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