赤ちゃんがよく遊びに来る会社です| 家入流ゆるふわ経営論 第3回

常日頃会社に赤ちゃんがいるCAMPFIRE。会議の様子はこんな感じです。

「#子連れ会議OK」のハッシュタグがSNSで広まったのは、昨年11月でした。きっかけは、熊本市議会の議場に、緒方夕佳市議が生後7ヶ月のお子さんを抱いて出席しようとしたこと。ニュースでもたくさん取り上げられましたが、その多くが「議会に赤ちゃんを抱いて入るなんて」という否定的なものでした。

議会は赤ちゃん連れでの議員の出席を認めてはいないため、そのルールには反します。緒方市議としてはそれを踏まえたうえで大胆な行動に出て、問題提起をしたのです。以前から「議会に託児所を作っては?」のようなアプローチも行っていたそうですが、「子育ては個人の問題」と切り捨てられることが多かった。そこにメスを入れようと行動に出たのです。

オーストラリア連邦議会では議場で授乳する議員の姿が話題になったことがありましたよね。日本がそこに行き着くのは、まだまだ遠い先のことのようです。

予期せぬピンチにも安心できる

「#子連れ会議OK」は、この問題を知ったSmartHR代表の宮田昇始さんが、「SmartHRは子連れ会議OKです」とツイートしたことで広まりはじめました。その投稿には会議に赤ちゃんが参加している写真も付いていた。ああ、赤ちゃんと一緒に出社できる場所があるんだというのが、一気に可視化された感じでした。

そしてCAMPFIREも同様に、常日頃会社に赤ちゃんがいる環境で、毎日のように公式アカウントでその様子を呟いていました。僕自身が娘を連れてくることが多いので、「#CAMPFIREの小さな社長」というハッシュタグで、その様子をツイートしていたんです。改めて「#子連れ会議OK」も付けてツイートすることにしました。


宮田さんとは、1月にフォーブス ジャパンで対談もしています。「#子連れ会議OK」を軸にそれぞれ経営者の立場から話をしたのですが、働き方について真摯に向き合って、自由に組み立てられるのは、スタートアップならではの大きな利点だなと思いました。

対談でも話していますが、会議に子供がいる光景はなかなかいいものです。会議は、できることならガチガチに緊張して何かを発表するより、ポジティブに意見交換ができたほうがいいわけで、会議室のなかに彼らがいると気持ちもほぐれるような気がするんです。

会議だけでなく、CAMPFIREにはキッズルームも用意しています。半年前に今のオフィスに引っ越した際スペースに余裕ができたので、“赤ちゃんが遊べるスペース”をと最初から計画に入れてつくりました。芝生マットを敷いてアンパンマングッズを置いただけの簡素なもので、託児所とまではいきませんが、赤ちゃんを遊ばせながら、横にパソコンを置いて仕事ができます。

誰でもごろんと寝転がれる、ちょっとリラックスできる空間です。みんな合間に時間をとって遊んでくれる。社員にとっても束の間のリフレッシュになっているのかもしれません。他社の方々や採用面接の方が来て、赤ちゃんが廊下をテクテク歩いている姿を見ると、「えっ」と一瞬驚いたあと顔がほころぶのも好きなんです。どの子もかわいいですからね。



会社は渋谷駅の近くにあるので、社員のほとんどが電車通勤。それを考えると、全員が子連れで出社できるかという難しい部分はあります。でも、「夫が、あるいは妻が、風邪で倒れてしまった」というときに、赤ちゃんを連れて出勤できると気持ちが楽になると思うんです。そんなピンチは年に1回か2回かもしれませんけど、予期せぬ出来事が起こったときに、「会社に行けばなんとかなる!」というのはすごく大切な気がしています。
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文=家入一真

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