「eスポーツ」市場、10億ドル突破へ 米中でプロリーグ活性化

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eスポーツ業界の売上が2018年に9億500万ドル(約970億円)に上る見込みだと、調査会社「Newzoo」は予測する。2017年の6億5500万ドルを比較すると、38%もの増加になる。さらに各企業からの投資額も前年比で48%増と見込まれている。

eスポーツとはエレクトニックスポーツの略。一般的な対戦型ゲームを用い、プロゲーマーたちが大勢の観衆の前で、ゲームの技を披露して観衆を楽しませながら対戦する。eスポーツ業界は2019年には売上が11億ドル規模に成長すると予測されている。さらに2021年には、16.5億ドルにまで伸びると見込まれる。

世界各国で対戦イベントが開催される人気ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の2017年の決勝戦のユニークビューワー数は、前年の2倍になった。また、米国のプロリーグではフランチャイズ制が導入され、新たなスポンサーが参入しやすくなっている。

今年から始まった「オーバーウォッチ リーグ(Overwatch League)」も好調だ。運営元のアクティビジョン・ブリザードは直近の四半期決算報告で、ゲームのユニークビューワー数が1000万人を超え、平均ビューワー数は1分当たり28万人を記録したと発表した。Tモバイルやトヨタなどがスポンサーとなって12チームが参加しているオーバーウォッチ リーグは、今後のeスポーツ業界をけん引していく見込みだ。

2018年の売上のうち40%はスポンサー収入になると見られる。一方で放映権料なども前年比72%増の1億6000万ドルになり、売上の5分の1近くを占めるようになると見込まれる。ストリーミングサイトの「Twitch」はオーバーウォッチ リーグの2年間の独占ストリーミング権を9000万ドルで獲得している。

オーバーウォッチ リーグは現在、アメリカを中心に展開している。アメリカはeスポーツの視聴者数においては全世界の14%しか占めていないが、売上シェアでは2018年に38%を占めると見られている。

「eスポーツはデジタルでグローバルなスポーツであるため、チームと地元のつながりはまだ浸透していない。地元チームを応援できるような仕組みを作ることでファンのエンゲージメントを高めると同時に、グッズやチケットの販売や、地元のスポンサーや広告主からの収入を期待できる」とNewzooはレポートで指摘している。

eスポーツファンは2018年には世界1億6500万人にまで増加すると見られるが、その半分以上を占めるのがアジア太平洋地域のファンであり、中国だけで2018年に1億6400万ドルを売り上げる見込みだ。

リーグ・オブ・レジェンドの2017年のワールドチャンピオンシップが中国の北京で行われたのは自然な流れだ。この大会は2017年に最も観られたeスポーツイベントとなった。

編集=上田裕資

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