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2015.02.13

ジム・ロジャーズと読む「世界の投資機会とリスク」




ロシア市場がパニックになって、最高の買い場が来る
「日本の株は2016年までは持っていたいが、悲惨なことになる」。そう語る破綻論者の彼が、いま注目するのはすべて意外な国ばかりだ。その理由とは――。


 バイクにまたがり、オフィスからは見えない世界の小さな変化を見つけてきたのが、「冒険投資家」の異名をとるジム・ロジャーズだ。
かつて誰もが予想しなかった中国のめまぐるしい経済発展をいちはやく予見し、商品相場の上昇も見逃さない。移住先のシンガポールから東京にやってきた彼に昨年末インタビューを行い、さらに今年、もう一度連絡をとって話を聞いた。
※以下本誌インタビュー記事より抜粋


高野真(以下、高野):2002年、シンガポールに移住したのは、娘さんたちのためだそうですね。
ジム・ロジャーズ(以下、ロジャーズ):アジアで教育を受けさせて、中国語が話せるようになればと思っていますが、中国は汚染が酷すぎて住めませんね。

高野:シンガポールから中国をご覧になって、中国の経済成長は続くと思いますか?
ロジャーズ:経済成長の減速を危ぶむ人が多いのですが、私はチャンスと見て、中国株を買っています。減速している理由の一つに、不動産バブルを終わらせるべく、インフレ対策をとろうとしていることが挙げられます。この政策は好ましいことです。
中国は、市場経済を始めてから30年間、景気後退を経験していません。これは異常です。景気の拡大、減速、そして修正というサイクルを繰り返すのが正常です。景気後退の経験がないと、実際にそれが起きたとき、対処の仕方がわからず、パニックに陥って間違いを犯すかもしれません。
私が中国に初めて投資したのは08年のことですが、それ以降は投資を控えていました。13年、中国政府は重大な政策を発表しています。今後20年間の重点的な政策が、エネルギー、通信、教育、環境など、産業ごとにリスト化されています。私はこのリストを入手して大切な知識とし、医療などの分野を選んで投資を再開しました。中国政府の産業に対する影響力は強大です。中国で利益を得ようとするなら、政府の動きから目を離してはいけません。

高野:不良債権化が問題になっている「影の銀行」は管理されると思いますか?
ロジャーズ:そう思います。だから、株価が70%下がったのです。中国経済には課題が多いものの、中国の減速と修正が正しいと市場が認識している証拠です。

高野:かなり脆弱な世界経済の状況については、どう思いますか。
ロジャーズ:主要な中央銀行のすべてが大量の紙幣を乱発する、歴史的に初めての事態になっています。世界は人工的な流動資金の海の上を漂っているのです。いまはハッピーですが、人工的につくられたものなので、大きな被害が私は心配ですね。

高野:FRB(連邦準備制度理事会)のベン・バーナンキがとったQE(量的金融緩和政策)1、QE2、QE3は適切な手段ではなかったと?
ロジャーズ:まったくもって適切ではありません。問題を先送り、あるいは積み上げただけです。システムが本来機能すべき道筋とは、現状を認識し、きちんとリセットして、より強固な土台から再び始めることなのです。

高野:あなたの投資手法はグローバルマクロと呼ばれているものです。あなたの投資スタンスと哲学についてお聞かせください。
ロジャーズ:私自身は安いものを買うのが好きなだけです。安く買って、高く売る。中国の株価は最高値からおよそ70%下がっています。そのうえ、政府は重点産業に多くのお金を使うと明言しています。したがって、安いと同時にポジティブな変化が表れているといえます。

 私が2人の娘にどう教えているかお話ししましょう。
(以下略、)

高野 真(本誌編集長) = インタビュー

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