6速マニュアルと組み合わされた2Lのエンジンは、低回転域から7000回転のレッドラインまで加速性がいい。ただし、わずかなターボラグがあることは感じられる。それでも、変速に自動的に回転を合わせてくれるレブマッチ機能はとても気に入った。サーキットで走ると自分がプロ選手になったように感じさせてくれる。4ポットのブレンボー・ブレーキは即座にピタっと止まってくれ、よっぽどのことをしない限りブレーキフェードは起きない。
期待したとおり、ハンドリングはシャープで無駄がない。ステアリングには的確でほどよい手応えがある。時速150kmでも安定性がよく、方向の切り換えも秀逸で、タイヤグリップの限界でのコントロール性能もいい。
ドライブ・モードは「コンフォート」、「スポーツ」、そしてレースモードの「+R」と3種類あり、サスペンションの固さやステアリングの重さ、スロットル反応などを切り換えることができる。日常的に乗り回すのに最適な乗り心地は「コンフォート」なので、ほとんどのドライバーはこのモードを選択しっぱなしにしそうだ。「+R」はサーキット走行に適しているので、一般道では少し硬すぎると感じるかもしれない。
もしあなたが、ごっつくて、ぶっ飛びそうな加速性を備え、コーナリング性能が高く、「トランスフォーマー」に登場しそうなルックスのパフォーマンス・セダンがお好みなら、そして450万円でよろしければ、タイプRこそぴったりの選択だろう。
スポーツカーの世界でもどんどんハイブリッド化が進む環境の中で、こんなターボ付きのタイプRは、はっきり言って超楽しい。ハイブリッドが嫌いとは言っていない。ハイブリッドのメリットだってある。でも、こんなに純粋で妥協しないスポーツカーは残って欲しいな、と思う。