レディー・ガガの復活劇から学ぶ、低迷事業を救う5つの方法

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レディー・ガガが戻ってきた。かつてポップ・ダンス音楽の世界に旋風を巻き起こした彼女は、2013年のアルバム『アートポップ』の売り上げが振るわず、世間から見放されつつあった。メディア露出も減り、楽曲やコンサートチケットの売り上げもぱっとしなかった。

しかし完全復活を果たしたガガの最新アルバム『ジョアン』は、たった数週間で50万枚の米国内売上を記録。米最大級の音楽フェス、コーチェラでは大トリを務め、ティファニー・アンド・カンパニーの新たな広告塔にも選ばれた。

ガガの復活劇は、低迷期に苦しんできた企業にとって貴重な教訓となる。ここでは、企業が彼女から学べる復活法を5つ紹介する。

1. 変化の必要性を認める

「最初の一歩は、問題の存在を認めること」だとよく言われている。ガガは変化の必要性について公の場で認めたことはなかったものの、悟りを開くような瞬間を経験して意図的に軌道修正を決断したことは明らかだ。

昨年10月に米ヤフー・ミュージックのインタビューに応じたガガは、やり方を変えることを決めた経緯を説明。19歳で亡くなった伯母にちなんで命名したアルバム『ジョアン』のアプローチについて、「私のキャリアにおける今回の方向転換は、胸の中にいるジョアンと共に挑む新しい旅のようなもの。これで世界とより深くつながれるようになるといいなと思う」と語った。

企業は時に、変革の必要性を認めることができず苦労するようだ。従来のシステムや人、考え方にしがみついているようでは過去と決別することができない。だがガガが示したように、新たな方向を明確に意識することが、最初の一歩となる。

2. 自社の強みを活用するイノベーションを導入する

ガガは新しいものを取り入れると同時に、自らの最も強力な武器である歌声をうまく活用した新プロジェクトを立ち上げた。伝説的クルーナーのトニー・ベネットとジャズアルバムを発売し(同作はベネットの史上2度目となる全米1位を記録した)、共同コンサートを米公共放送PBSの特別番組でテレビ中継したことは、素晴らしい決断だった。意外なコラボが関心を引いて視聴者が集まったからだけでなく、ガガの圧巻の歌唱力を見せつけたからだ。

ガガはこうして、新たな価値を提供すると同時に、自身の非凡ぶりを改めて印象付けることに成功した。これは、彼女がまさに必要としていた類いのイノベーションだった。企業は似たような手法で会社を活性化させることができるはずだ。

アルバート・アインシュタインが、同じことを繰り返しながら違う結果を期待することを狂気と呼んだというのは有名な話だ。多くの企業はこのような行動をやめてイノベーションを開始する必要性を認識しているが、自社の能力を超えたり、すでにある独自性から目を背けたりする方向を追求してしまいがちだ。そうではなく、ガガの例に倣って自社の中核的な強みを活用する方法を探すべきだ。
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編集=遠藤宗生

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