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2017.04.20

世界のカジノ企業が注視する「日本型カジノ」の実現可能性

Fer Gregory / Shutterstock.com


「日本型カジノ」とは具体的に何なのか?

2点目は、日本のIRの独自性についてだ。安倍首相は、IR推進本部の会合で、「クリーンなカジノを含んだ魅力ある日本型IRをつくりあげたい」と述べている。日本の歴史や文化を融合させた日本ならではのIRとはどのようなものなのだろう。また、どのような顧客層をターゲットとするのだろうか。

日本の反面教師となるのがマカオだ。マカオには世界最大級のIRが立ち並びながら、ギャラクシーマカオリゾートのフェーズ2が完成するまで、マカオならではの魅力を表現した施設は皆無だった。ラスベガス・サンズに至っては、美しい中世ヨーロッパの街並みが残るマカオに偽物のベニスを再現してしまった。それは、まるでマーベルが日本のアニメを模倣したコンテンツを日本市場向けに作るようなものだ。

これまでのところ、日本の大手企業は世論を気にしてか、IRに対して距離を置いているように見える。しかし、IRを経済活性化の切り札にする上で大手企業の関与は不可欠であり、彼らの参画によってIRの性質は大きく変わるだろう。

Murrenが投げかけた2つの質問に日本が答えたとき、日本型IRの全容が明らかになる。逆に、質問に答えることができなければ、カジノ解禁の道は閉ざされ、日本経済の活性化への道はまた新たな壁に突き当たることになる。

編集=上田裕資

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