「悲観的に準備して、楽観的に対処する」─サミット竹野浩樹社長

サミット、竹野浩樹代表取締役社長(写真=山本マオ)

大学時代のアルバイトで“商売の基本”を発見し、旅では世界の多様性を学んだサミットの若き社長・竹野浩樹氏。仕事の充実・成功のために日々をどのように過ごすか、秘訣を聞いた。

首都圏で112店舗を展開するスーパーマーケット「サミット」の代表取締役に就いたのは、2016年6月です。

私は住友商事に入社したのですが、1年目よりサミットの経営幹部会に毎週参加させてもらい、小売りのイロハや意思決定のメカニズムを間近で学ばせてもらいました。そのころから常に意識しているのが“アドバリュー”、つまり自分の価値がどこで発揮できるのかということ。若いときは当然専門性はないし、サッカーでいうとベンチから広いフィールドを見ているだけ。でも、どのポジションであれば自分は起用してもらえるのか、ということを常に意識していました。

それが、トモズの創業や、マミーマートへの出向、51歳という働き盛りでサミットの会社経営を任せてもらうことにつながったのだと自負しています。

住商に入社を決めたきっかけは、自分には商売の才能があるのではないかと思ったからです(笑)。大学時代、旅が好きで、その資金を稼ぐために、家庭教師と神宮球場のビール販売員を掛け持ちしていました。

後者はとても過酷ですが、完全歩合だし、いちばん売った人がゼッケン1番をつけられるという明確さが好ましかった。私は「もっとも動かないで最大の成果をあげるには何が必要か」を考えました。ビールは重くて、背に担いで歩いているだけで体力を消耗してしまう。最小の労力で最大の成果をあげるためには、お客様との信頼関係、絆、目配りが大切です。そう気づけた日からずっと1番でした。

1日10ドル、バックパックひとつでアフリカ、アメリカ、ヨーロッパなどを回った経験は大きかったです。一度モロッコで栄養失調で倒れて、命からがらパリまで戻ってきたこともありますが(笑)。

旅で学んだことは、月並みですが、自分の常識が世界の常識ではないこと、いろんな文化や価値観が世界には存在するということ。仕事でも多様な価値観を認めるのは重要で、批判ではなく意見と受け止めて人の話を聞くことができるのは旅のおかげかなと思います。
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構成=堀香織

この記事は 「Forbes JAPAN No.33 2017年4月号(2017/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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