最悪の顧客体験にどう対応するか ユナイテッド騒動から学ぶ5つの教訓

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ほとんどの人は、先日ユナイテッド航空3411便で起きた騒動についてご存知だろう。搭乗済みの乗客が意思に反した降機を求められ、最終的には強制的に引きずり降ろされた事件だ。

デビッド・ダオ医師が被害者となったこの事件はインターネットで拡散し、非難と抗議の的となった。この恐ろしい顧客体験から学べる教訓が5つある。

1. 全てのルールの裏には根拠がある

全ての会社には、従業員が従うべき規定がある。ユナイテッド航空は自社の規定に従っていたのだろうか? 企業の内部告発に詳しい弁護士のブライアン・マハニーの答えはノーだ。

「いったん搭乗した乗客には非常に多くの権利があることは、あまり知られていません。規定では、航空会社は法的に金額を徴収し、航空券を販売し、オーバーブッキング(過剰予約)の場合は搭乗拒否することができます。よく飛行機を使う人なら、オーバーブッキングの経験が何度もあるでしょう」

「もしボランティアが見つからなければ、航空会社はオーバーブッキング発生時の運賃と規定について文章化した細則を最終手段として適用します。ユナイテッド航空の規定第25条『搭乗拒否時の補償』では、オーバーブッキングに関する同社の対応について明記し、『搭乗を拒否する』場合の対応について非常に細かく規定しています」

「今回の乗客排除での問題は、彼(ダオ医師)が既に搭乗済みだったということ。いったん搭乗した乗客を降ろすことを認める文言は規定にありません」

仮にこれを認める権限や規定があった場合でも、既に着席済みの乗客を力ずくで降機させれば航空会社としてのブランドが傷つくことは理解すべきだっただろう。

教訓:全てのルールの裏には根拠がある。しかしその根拠が無くなった場合はルールを停止するべき。現場の社員には正しいことを行う権限が与えられるべきだ。

2. マーケティングの第2ルール

マーケティングには「よい話を真実によって台無しにしてはならない」という有名な第1ルールがある。ユナイテッドは当初、今回の事件について冷淡な姿勢を見せ、一部乗客を「振り替えた」ことについて謝罪した。

しかしユナイテッドは、「非公式」な第2のマーケティングルールについても知っておくべきだった。それは、「真実に追いつかれた時は、それを認めなくてはいけない」というもの。オスカー・ムニョスCEOは3度目の謝罪で次のように述べ、ようやく真実を認めた。[関連:米航空「乗客引きずり降ろし」問題、従業員擁護したCEOの失態

「降機を強制されたお客様、そして同便のすべての乗客の皆様に深くお詫び申し上げます。このような不当な扱いは誰も受けるべきではありません。私たちはすべての責任をとり、問題の改善に努めます。正しいことを行うのに遅すぎることはありません。お客様と従業員に、二度とこのようなことが起こらないよう、問題に対処することを誓います」

教訓:正しいことをするのに遅すぎることはないかもしれない。しかし時間をかけすぎると、ブランドに傷がつく恐れがある。
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編集=遠藤宗生

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