世界2位の富豪、ジェフ・ベゾスは人類最後の希望になるのか?

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干し草の生産が失敗して家畜が死ぬと、飢えた民衆が中心都市に次々と流れ込んだ。都市が蓄えていた最後の食料は同市民を生かすには足りたかもしれないが、「救命ボート」に全員が乗り込もうとした結果、その重みに耐えきれなくなってしまった。

バイキングの文化にもっと適応性があれば、グリーンランドの文明もなんとか持ちこたえたかもしれない。

孤立主義のリスク

古代スカンジナビア人の破滅から学べることは、人類が集合的に盛衰するということだ。人類の行動が自らの首を絞めているという証拠をかたくなに全否定することもできる。その場から逃げ、財産を集めて、世界から自らを隔絶することもできる。シェルターを買って他の裕福な人と一緒に世界の終わりを乗り切ることもできる。

しかし、文明は孤立の中で生き残れない。現実逃避によって偽りの安心感は生まれるかもしれないが、最終的には私たちはみんなつながっているのだ。だからこそ、シリコンバレーの億万長者、そして私たち全員が、逃げ隠れせず、急速に進行する問題に対して急速に進化する技術をもって立ち向かわなければならない。

最終的に破綻したサブプライム住宅ローンにウォール街が何千億ドルという大金をつぎ込めたのであれば、私たちはなぜ、人類の存亡に欠かせない気候学や海洋科学の基礎研究などの資金繰りに苦しんでいるのだろうか。

化石燃料の危険性が確かなのであれば、なぜ使用の継続を検討できるのだろうか。囲碁で人工知能が人間の王者を破れるのであれば、人間が越えるべきでない地球の一線をなぜ人工知能に教えてもらえないのか。

高名な環境科学者、ドネラ・H・メドウズがしばしば口にしたように「私たちは今から始めればぎりぎり間に合う」のだ。現実逃避は避けなければならない。ベゾスやマスクが持つ大胆さは、もし宇宙空間だけでなく地球の抱える問題にも向けられれば、人類最後にして最大の望みとなるかもしれない。

編集=遠藤宗生

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