Photo by David Becker/Getty Images

イーロン・マスクが推進する次世代交通システム「ハイパーループ」は、細いチューブの中を時速1200kmで進む未来感あふれる乗り物だ。そのハイパーループが全米の各都市をつなぐ壮大な計画を進めていることが明らかになった。
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ハイパーループを運営するハイパーループワンは4月6日、ワシントンDCで全米の35州をつなぐ計画を推進中であることを明らかにした。想定される軌道はテキサスやフロリダ、コロラド、ネバダ、ミズーリーの各州にまたがるもので、各地の運輸局を巻き込んだものになるという。

ハイパーループは従来の高速鉄道の4倍の速度で走行可能だが、建設コストは従来の鉄道の約半分だ。しかし、同社が何よりも先に実現させねばならないのは、ネバダ州の砂漠に設置した500メートルのテスト施設、DevLoopでの実験を完了することだ。

同社のグローバル責任者のNick Earleは「今年の夏のテスト走行で、我々のテクノロジーが本物であることを証明したい。それに続く課題が資金調達だ。また、政府の規制当局の承認を得ることも大きなチャレンジと言える」とフォーブスの取材に述べた。

2016年5月、ネバダ州での公開テストに成功したハイパーループワンは1億6000万ドルを調達しR&Dを進めてきた。その後、社内に内紛とも言える事態が発生し、共同創業者で元CTO(最高技術責任者)のブローガン・バムブローガンと3人の元社員らが7月に同社を相手取った訴訟を起こしたが、11月には法廷で決着をつけた。それ以来、再び未来の交通システムの実現に向けた動きを加速させてきた。

フォーブスが昨年10月に入手した資料によると、同社は今年2億5000万ドルの資金の調達を目指している。Earleは詳細に関する言及は避けたが「今夏のラスベガス郊外でのテスト(社内ではキティ・ホークと呼ばれている)は、なんとしてでも成功に導くつもりだ」と述べた。

今夏のテストは最新のリニアモーターと磁力で浮上する車両が、石油パイプラインのような真空のパイプ内を長距離移動するものになる。「走行させる車両は実際に人が乗ることを想定したものだが、今回は無人で実施する。有人のテストには、さらに厳密な安全性テストの実施が必要だ」とEarleは述べた。

同社は今後、ネバダでのテスト軌道を全長3キロにまで拡大し、駅のプロトタイプも建設する予定だ。全てが順調に進めば3年以内に第一弾の本格的なハイパーループシステムの建設が開始される。その実現に向けては当局の承認と、膨大な資金の調達に向けた新たな出資の獲得も必要になる。

「海外ではドバイが最初の導入国になりそうだが、フィンランドやオランダも興味を示している」とEarle は言う。

「これまでで既に海外の11チームからオファーを受けている。自分は35年間もこの業界に居るが、政府がわざわざ話を聞きに来るようなプロジェクトに関わるのはこれが初めてだ」

編集=上田裕資

 

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