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2017.04.05

ウェスチングハウス破綻、東芝英子会社の事業への影響は

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東芝の米原子力発電子会社、ウェスチングハウスは3月29日、米連邦倒産法第11条の適用をニューヨーク州南部連邦地方裁判所に申請した。その大きな原因となったのは、ジョージア州とサウスカロライナ州で建設中の「AP1000」型原子炉の建設費用の問題だったとされる。

東芝が抱える原子力発電事業の損失額は既に60億ドル(約6630億円)に上っており、今後さらに、100億ドルに膨らむ可能性がある。だが、ウェスチングハウスの経営破綻は先行きの状況に関する不透明感を増すものの、米国の新規原発建設に歯止めをかけることになるとは考えにくい。

原子炉は中国や韓国、英国を中心に世界中で建設されており、今後も新たな計画は出てくるだろう。原発関連の事業が失敗に終わるのは、その他の多くの産業と同様、関連技術そのものではなく、経営陣の不手際や資金繰りの問題、不適切なビジネス手法が原因だ。

太陽光発電パネル・メーカー、ソリンドラ(Solyndra)の破綻は、技術的な問題が原因ではなかった。シアトルのトンネル建設が中断しているのは、シールド掘削機「バーサ(Bertha)」が理由ではない。ウェスチングハウスは建設業者にエンジニアリング大手の米ショー・グループを選出したが、これが原発建設事業の完成時期を遅らせ、予算が大幅に膨らんだ「誤り」の原因だ。

他国では事業を継続

ただし、ウェスチングハウスは全てを失ったわけではない。アジア、欧州、中東、アフリカでの事業は、経営破綻の影響を受けない。

中国の三門原子力発電所と海陽原子力発電所で建設中の「AP1000」型原子炉は、完成に向けた最終段階にある。さらに、東芝傘下の英電力事業会社、ニュージェネレーションがイングランド・カンブリア西部で進める原子力発電所の建設事業「ムーアサイド・プロジェクト」に関連して、ウェスチングハウスは英規制当局から原子炉の設計に関する承認を得たばかりだ。
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編集 = 木内涼子

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