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2017.04.04

ネットフリックス、翻訳対象の言語拡大に向け新システムを導入

スペイン、バルセロナにて。多言語化が進むネットフリックス。(Diabluses / Shutterstock.com)

米動画配信大手ネットフリックスの企業価値に占める国際事業の割合は、米調査会社トレフィス(Trefis)の推計によると約45%となっている。2023年には、同事業部門の売上高が全体に占める割合は50%以上に増え、ストリーミング事業の貢献利益率は、国内外の事業がほぼ同水準になると予想される。

企業価値に占める国際事業の割合が大きいことから、ネットフリックスは視聴者の母語に関わらず、どの言語でも同社のコンテンツを楽しんでもらうことができるよう、翻訳業務に力を入れている。同社は先ごろ、各言語での字幕作成と翻訳テスト、インデックス作成を行うためのオンラインシステム、「HERMES」を導入した。このシステムにより、同社は翻訳者の採用をより円滑に行うことができるようになる。

ネットフリックスは現在、20か国語の字幕を提供している。5年前には3言語だったことを考えれば、大幅な増加だ。だが、市場の拡大を推進したい同社は、さらに多く言語の翻訳者を必要としている。経営幹部は既に、英語がネットフリックスのコンテンツ視聴における「主要な言語」ではなくなる時期が近づいていることを認めている。

一部言語の市場では他社に遅れ

ネットフリックスは現在、地元向けコンテンツの不足により、インドなど一部の市場で競合他社に遅れを取っている。アマゾンなど競合他社は、地元でコンテンツを調達することに力を入れている。

だが、ネットフリックスが掲げるのは幅広い視聴者を取り込む戦略だ。そのためには、人気のある独自コンテンツにより多くの言語の翻訳版を提供していくことが、有効であるとの考え方だ。各地域で地元向けのコンテンツを作成すれば多額のコストが必要となることも、こうした戦略を取る理由の一つだ。

トレフィスは今後、ネットフリックスが欧州やカナダ、ラテンアメリカで市場を大幅に拡大するのと同時に、国際事業でのマーケティング費用の減少と、営業レバレッジの改善が実現されることを予想している。こうした見方に基づけば、(翻訳を付ければ)各国で視聴可能なコンテンツを増やすことを重視する方針は、収益創出のための長期的な戦略として賢明なものだといえるだろう。

編集=木内涼子

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