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2017.03.31

環境より雇用の大統領令でトランプが陥る「中国のジレンマ」

ユタ州にある石炭火力発電所 (Photo by George Frey/Getty Images)


トランプが署名した大統領令は、一部の人たちにとっては雇用の保護であり、大都市ほどには流動性がない地域で、家族が離れ離れにならずに生活していくために必要なものだ。問題の根は深い。これらの労働者にとっての新たな収入源が見つかるまで、石炭産業は保護されることになるだろう。

ただし、それでも石炭産業の今後が上向いているということではない。この点においても米国は、深刻な問題に直面する中国と同じだ。

大統領令が意味するもの

オバマ政権が目指した「脱炭素社会」に向けての取り組みを見直すとしたことで、トランプは地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の下で米国が掲げた目標を撤回する可能性もある。このパリ協定は、中国も昨年9月に批准している。

一方、昨年中には少なくとも3社が経営破綻した米国の石炭業界が直面する多大な困難を考えれば、トランプの支援があったとしても、関連企業がすぐに事業拡大に乗り出すとは考えづらい。

石炭業界は米国でも中国でも、依然として問題を抱えている。ただ、米国で関連産業に従事する労働者たちのストレスは、トランプが大統領である限り、少しは軽減された状態であり続けるのかもしれない。

編集 = 木内涼子

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