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英国のメディアの一部は3月17日からの英ウィリアム王子夫妻のパリ訪問を、20年前に同地で事故死した故ダイアナ妃を関連付けて報じた。

だが、英国の欧州連合(EU)からの離脱、「ブレグジット」が確定している中、フランス側は王子夫妻の訪問をより戦略的なもの、古くは敵でありながら友人であるフランスとの良好な関係の維持に向けた英国の外交努力の一貫と捉えた。

夫妻の訪仏の背後にあったのは、それらの考えの両方だろう。英国は今月中にも、EU離脱の交渉手続きについて定めたリスボン条約第50条に基づき、正式なプロセスに着手するとみられている。

夫妻の「微笑み外交」でイメージ転換狙う

ウィリアム王子とキャサリン妃が英国の外交上の「強力な武器」であることは言うまでもない。世界的に人気の高い魅力的な夫妻の外国への公式訪問は、政治的にも経済的にも、高い関心を呼ぶ。

仏誌ルポワンは、「英政府はEUからの離脱にあたり可能な限り有利な状況を引き出すために、王室に頼った外交上の働きかけを始めた」と伝えた。英国政府は他国との二国間関係の円滑化に問題が生じた場合、王室に支援を頼むのが通例だ」という。

キャサリン妃が公務でどこかを訪れる際にはいつでもそうであるように、ファッションの中心地であるパリで今回、どのようなドレスで晩餐会に姿を現すのかなど、同妃の装いにも注目が集まった。

だが、キャサリン妃の今回の訪仏が象徴するのは、優雅さやファッションセンスだけではない。英政府は国外で広まった自国に対する「不寛容」というイメージに危機感を募らせている。ルポワン誌は、同妃は「若い世代が英国に対して持つ否定的な見方を和らげることができる」と指摘した。

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一方、仏国内には「キャサリン妃効果」に、1997年8月31日にパパラッチに追われ、パリのアルマ橋のトンネル内で交通事故死した故ダイアナ妃の影響力を重ねてみる向きもある。事故当時、ウィリアム王子は15歳、ヘンリー王子は12歳だった。今回の訪仏では、ダイアナ妃の慰霊碑である「自由の炎」に立ち寄ることは見送られた。

仏市民らと交流

17日午後にパリに到着した夫妻は、エリゼ宮(大統領府)でフランソワ・オランド仏大統領と会談。その後、芸術やスポーツ、ファッション、ビジネス、慈善活動、軍務などさまざまな分野で活躍する若者たちとの交流や、数多くの著名人を招いた在仏英国大使館での晩餐会などの公務をこなした。

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今回の夫妻の訪仏の予定に入っていたのは、パリのランドマークであり、1670年から6年をかけて建設された負傷兵を収容するための施設、現在は軍事博物館となっているアンヴァリッドへの訪問。そして、パリとニースで起きたテロ事件の犠牲者の家族らや、第二次世界大戦を経験した退役軍人らとの同地での面会。

その他、欧州のラグビーの強豪6か国が総当たり戦で競う伝統の「シックスネーションズ」のウェールズ対フランスの試合観戦だった(パリ郊外にあるスタジアム、スタッド・ドゥ・フランスで開催。ウィリアム王子にとっては、エリザベス女王からウェールズ・ラグビー協会のパトロンの役割を引き継いで以降、初の公務での観戦)。

編集=木内涼子

 

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